「おかめ」の顔は、五つの精神美(五徳の美人)を表していると云われています。
一つは、一重まぶたの目です。これは半眼といい、仏様の目と同じです。半分は自身の内を見つめる内省の深さを表現しています。
二つは、豊かな耳です。耳は福耳といい、耳編に呈するで、「聖」と読みます。他者の苦しみに耳を傾ける姿です。
三つは、低い鼻です。「あの人は鼻が高い」、即ち、驕慢でないことです。
四つは、小さな口です。慎みをあらわします。
五つつは、温和な顔です。穏やかな心を示しています。
これが、美人顔と云われるおかめの話です。
しかし、現代、美人顔といえば、二重まぶたの大きな目、こじんまりとピアスが似合いそうな耳、すっとした高い鼻、情熱的な大きな口、そして、締まった小顔。
そして、これらを協調するお化粧で、「おかめ」とは正反対の顔になりました。
現代人の美的感覚は、すっかり変わってしまいました。
見た目は変わっても、「おかめ」に表現される精神美(こころ)は、忘れずに培(つちか)っていきたいものですね。