小説『親鸞』 五木寛之著『親鸞』(講談社) 宗教問答があり、思想的格闘がある一方で、恋愛も、性欲も赤裸々に示される。三角関係も、嫉妬(しっ と)やエゴイズムも描かれる。 「親鸞のいう悪とは、心の闇ということだと思うのです。それは、孤独であり、疎外感であり、妬(ね た)みであり、コンプレックスであり、鬱(うつ)でもある。そういうものを象徴的に表したのが悪とい う言葉だと思います。その心の闇を照らす光が欲しい。仏とは何か。それは目に見えない、大きな光では ないかと思うのです」 五木寛之