【 お茶を運んできた悲しい笑顔が瞼に灼きついていた。藍の着物が妙によく似合うその外国人の仲居

は、茶を淹(い)れながら言ったのだ。

「オ客サン、辛イノネ。悲シイノネ。デモ、苦労ノ分ダケイイコトアルヨ。イイコトヨリ先ニ、悪イコト

来タダケヨ。」 】(浅田次郎著『プリズンホテル』より)



人生には、楽しいことと、悲しいこと(辛いこと)がある。

たまたま、悲しいことが先にやってきただけ。