命の長さ

娘は小倉の病院を退院し、大分に帰ってきました。
学生の時から7年の間一人暮らしを続けていました。
保育士の仕事も、病気の為に辞めなければなりませんでした。
入院生活五ヶ月、脳外科手術、放射線治療、化学療法と頑張ってきました。
でも、娘を襲った病気は今の医学では治療法もないのです。放射線治療も目一杯しても、それを退治することはできません。4週間毎に五日間服用する坑腫瘍剤も僅かに命を延ばせるだけ。
小倉の病院から、紹介された病院では対応ができないと言われ、たまたま週一度診察に来ていた大学病院の先生に診ていただけることになりました。その先生から、家の近くの専門病院も紹介してもらえました。
今日は、大学病院で坑腫瘍剤投与前の血液とMRIの検査でした。
MRIの結果、先生はおしゃったのです。
「今、ああやっているのが不思議だ。今のうちにやりたいことをたくさんさせてあげなさい。もうすぐ意識がなくなる日が来るだろうから、家族でたくさんの時間を過ごしなさい。
夏までは持たないかも知れない。今は、いつ何が起きてもおかしくない状況です。」と。
娘は、夏を迎えられるのが奇跡なのではなくて、今こうしていることが奇跡なのだそうです。
先月見せてもらったMRIの画像と今日見せてもらった画像を見比べても、素人の私でさえ分かるほどに、悪性腫瘍はたった一ヶ月で大きく増殖しています。
私の残りの命を娘にあげられるなら、神様にお願いしたい。
まだ、娘は私の半分も生きていないのです。
神様はなぜ、娘を選んだのでしょう。
その理由を教えて欲しい。