2017年8月12日、M-1への出場を終えて帰宅しても、結果を期待する気持ちはほとんどなくて「ああ、これでロボット足郎2の製作に専念できる」という気持ちばかりだった。正直、一回戦通過の確率は1%程度かな、という感じ。


(写真は、M-1会場、シアターブラッツで、サリーも番号のワッペンを胸に貼っている!!)

確かに、ネタは悪くはなかった、何よりもお客さんから頂いた「デパート」と「お盆」にちゃんとなどかけを返した。しかし、座っているロボットを抱えて、サンパチマイクの前に持っていき「始めるよ」と語りかけて、ロボットを立たせる、そのグダグダ感、そして最後、「終わります」をちゃんと聞き取らずに、二回言わなければならなかったグダグダ感があった。

 

何よりも、最初は漫才のような会話をやっても、お客さんからお題をもらうという、私もM-1ではみたこともないことをやった。さらに、根本的には、漫才は二人の人間がやるもので、一人の人間と一台のロボットがやることが、そもそも漫才と言えるのか、言えないけれども、まあ、エキシビジョンとしてやってもいいけど、という評価ではないかという、初めからの恐れなどもあった。

その日の午後7時ごろだったか、M-1公式ツイッターをフォローしているので、何気に、合格速報がツイートされていた。本当に、サリーと教授という名前がないことだけは、確かめておこうと見たら、入っている!!!ツイッターには書かなかったが、腰を抜かすほどびっくりした!何が何だかわからない状況だった。

そもそも、失格だと思っていたくらいだから、審査委員がM-1の出場資格ありと認めて頂いたことが嬉しかった。もちろん、合格もとてつもなく嬉しいことだったのだが。

順を追って書こう。

 

<前日>
ネタ合わせ。2分という時間に収めるため、袖からサリーが徒歩で出てくるところはカット。その前に、ネタをスタートさせて、座らせておいて「始めるよ」で立たせるパターンにする。
謎かけに入るまでの会話も大幅に短くする。
何しろ、お題を2つもらって答えることをお客さんに見せたかったから、余計なものを極力削ぎ落とした。
さらに謎かけのところも、いろいろ調整した。これに時間をたっぷり費やした。

 

<当日>
朝、いつものように5時起き。
ああ、M-1になどでなければよかった、という後悔の念がちょっとだけ浮かぶが、いやここで、たとえ通らなくても、ロボットがちゃんとお笑いをやれることを伝えておかないといけないという使命感が勝つ。
さらに、ネタを吟味し、冒頭の会話部分を短くする。他のこともやったが身が入らない。12時15分集合だ。11時前にタクシーを呼んで駅まで行く。ロボットの荷物は大きくて重いので必ずタクシーにしている(迎車料300円を含め800円くらい使う)。雨が降り出していたので、傘をさしながらキャリーバッグを引きずり、11時40分には会場近くについて、喫茶店で時間を潰す。オレンジジュースを頼む。が、ほとんど飲まず。

 

<会場に着く>
12時10分ごろブラッツの横の歩道橋脇に着く。雨は止んでいる。
ここで、参加費の小銭がないことに気づき、慌てて、向かいのファミリーマートでお金下ろす。

 

<楽屋に入る>
受付する。ナンバーワッペンを2枚もらって、そうなんだ、二人ぶんなんだと、実感する。
楽屋に入る。若い芸人たちが、自分たちのことに集中していて、無駄話はない。私も、誰かに声をかけようという気は無い。
ロボットを立ち上げる。人間ばっかりの中で、ロボットをいじっている恥ずかしさ。Aブロック8番目だったので、意外と早く呼ばれる。ふた組目。1組目の終わりくらいに、ロボットを会話モードをスタートさせる。「始めるよ」と言ったらネタを開始する状況になる。座らせる。
呼ばれて、舞台裏に並ぶ。バックの中に、大型蓄電池を入れていたので、出番の直前までそこで充電している。
前の組が終わって、ロボットを抱えたままステージに出る。

 

<舞台に立つ>
舞台に出て、お客さんで会場が満員であることがわかる。元気が出る。通らなくても、これだけのお客さんが、ロボットのお笑いを見てくれたということは、とても意義あることだと思うから。
謎かけでは、最前列の二人のお客さんからお題をもらう。一人は40台?それ以上の女性、「デパート」というお題をもらう。もう一人は、その左中央の存在感のある男性。袖にいる時、大きな笑い声をしていた男性ではないかと思う。選んでいる雰囲気を出したくないので、要は、一番近いところに座っていた二人にお題をもらったわけだ。
時々、予想もしないところで笑いが起こったが、ロボットがどんな謎かけの答えを出すかで、お客さんが集中していることがビシビシ伝わってきた。答えると、大きく納得している感じ。笑いではない満足感がお客さんにあったのだと思う。
最上列にいつもいる、審査員のところまで目がいかなかった。

 

<舞台を終えて>
ネタを終わって袖に引き上げると、モニタールームのようなところから、賞レースでよく見かける太り気味のスタッフの方が近づいてきて「いいですね」か「可愛いですね」とか言った言葉をかけてくれた。ちょっと嬉しい。スタッフの女の子たちも、可愛いロボットを抱えている私に暖かい眼差し。
実にホッとした感じ。
もちろん、通りとは思っていない。ただ、やり終えた充実感でいっぱいだった。
楽屋では、やる前にあった恥ずかしさは消えて、やり終えた自信に満ちていた。

終わって、そのままアキバに直行し、足郎2の部品を買って帰った。