同僚に聞いた話

彼女が銭湯に行くと脱衣所でおばさん達が話していた。
その一人のおばさん曰く、自分は平家の末裔であると。
数年に一度、日本全国から平家の末裔の方々が、
先祖代々その家に伝わる品々を持って、ゆかりのあるどこぞの寺に集まり、
供養祭を行うんでそれに行ってきたと。

その寺の本堂はゆうに5、60人は座れるほどの広さ。
向かって正面に持ち寄った品々、刀やよろい兜、巻物や家具等々。
着物等はまわりの壁に掛けてある。
その前に6、7人のお坊さんたち。そして末裔の方々が50人ほど集まっていた。

お坊さんたちの読経が始まり、集まった方々も手を合わせている。
しばらく読経が続いていると、何やら周りがザワザワし始めた。
周りの視線を追ってみると、壁に掛けた女性物の着物の裾が読経に合わせて小さく揺れている。
しかも薄っすらとだが、着物から手足が出ているようにすら見える。
そして次第にそれは大きな揺れとなっていき、終いには着物全体が揺れている。
すぐ隣の着物はまったく揺れてないので風ではない。
空調の風でもない。
その様子におばさんも呆然としていた。

すると流石にお坊さんも気づいた様子で、一番偉い感じのお坊さんが、
大きく咳払いを一つしてこう言った。
「みなさん、これから別のお経を上げますので、手を合わせて目を閉じてください。
私が良いと言うまで、絶対に目を開けないように」と、
今までよりも大きな声で一段と激しい読経が始まったそうだ。

薄目を開けて見ていると、次第にその着物の揺れは小さくなっていき、
やがて動かなくなった。

「みなさん、もう目を開けて結構ですよ。
世の中には様々な不思議なことがあるものです」と
かのお坊さんが語ったそうです。(-人-)ナムナム