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ピートマック・ジュニア「ルパン三世のテーマ」

この曲は1977年から3年間放送されたTVアニメ「ルパン三世」の主題歌として27話から51話までボーカル付きで起用されたナンバー。


作詞は具志堅用高「拳」、初期の山口百恵のナンバー、堀江美都子「花の子ルンルン」など手がけている千家和也。

ヴォーカル版で、歌詞原案は鴇田一枝。

TV第2シリーズの視聴率が好調だったため、レコード会社の戦略として、「テーマ曲に歌詞をつけよう」という企画で歌詞は一般公募となった。

しかし、大野の回想によればまともな歌詞が集まらず、鴇田の歌詞を採用後、作詞家の千家和也に補作を依頼、完成に至ったという経緯がある。

歌はピートマック・ジュニア(Pete Mac, Jr.)こと藤原喜久男による。彼の声はかなりインパクトがあった。

当初は「ルパン三世 愛のテーマ」のヴォーカル版を担当したアニメソング界のアニキこと水木一郎による録音も行われたが、採用にはならなかった。水木版は2003年になって初ディスク化が実現している。



そのピートマック・ジュニアとは・・・


本名藤原 喜久男さんといい、アメリカ系日本人。

1959年の映画「キクとイサム」での出演でも知られる。当時の芸名は奥の山ジョージ。


神奈川県横須賀市に黒人米兵の父と日本人の母の元に生まれる。

小学4年生のとき監督・今井正の映画『キクとイサム』(1959年・大東映画・配給:松竹)において、黒人混血児役で芸能界デビュー(役名は川田イサム)。『キクとイサム』公開後、父と共に草津市に移住する。神戸市三宮絨毯バーでの夜勤を経て上京後、弾き語りによって生計を立てる。

譜面の読めなかった彼だが、父方の血筋と天性の才能でこれを克服し、田端義継とザ・マミーズで活躍。1969年頃から数年、原信夫率いるシャープスアンドフラッツでソウルフルなリズム・アンド・ブルースをこなす。

1973年、日本テレビ開局20周年TVドラマ水滸伝』の主題歌「夜明けを呼ぶもの」(作詞:水木かおる 作曲佐藤勝 編曲馬飼野康二 /B面は「飾り窓の女」)でボーカルを務める。1976年にはこのドラマがBBCで放映された際には、ゴダイゴによる英語版の曲とカップリングでThe Water Marginとしてイギリスでリリース (BBC Intercord LC1385)、全英シングル・ヒットチャート (Music Week) 37位にまで上がる。 

1978年にはピートマック・ジュニア (Pete Mac, Jr.) 名義によるルパン三世のテーマ(ヴォーカル・ヴァージョン)をリリースした。その後、極度のアルコール依存症にかかり、第一線を退いた。

長らく人前に姿を見せず、一時は死亡説も流れたが、2010年1月19日、しが県民芸術創造館での回顧上映会に登場し、『キクとイサム』で共演した高橋エミに花束を渡すなど健在な姿を見せた。現在は草津市で暮らしている。