(失敗談がほとんどになると思いますが、もし何かお気付きの点、良いアドバイスなどありましたらお願いします)

 

モイーズの「ソノリテについて」をやってみました その1

「ソノリテ」の難易度
フルーティストのバイブルと言われているとのことですが、ページをめくってみるとかなり難しいレベルなのがすぐにわかります。ムラマツフルートのホームページで調べてみたら難易度が中級~上級~最上級にランクされていました。

また、モイーズ自身による難易度評価では1~9の段階で7~9(最難度)だそうで、翻訳された吉田雅夫氏は初心者が「ソノリテ」を使うのはあまり賛成できませんとも述べていました。それでもこの著名な「ソノリテ」どこまでできるか、できるところまでは挑戦してみたいと思いページをめくってみました。

「柔軟」「自由」「しなやか」ということ
第1部「音色と音の同質性」は音を置いていくだけなら何とかなりますが、低・中・高の三音域の音色を同質の美しい音で統一するのは簡単ではないというのが本音です。さらには、半音で下降・上昇するところはまだしも、だんだん離れた音につなげていくパターンになっていくと、アンブシュアや息のスピードにまで気が回らず、美しい音を維持するのに苦労します。

この第1部に限らずモイーズはこの著書の中で「唇の柔軟さ」「唇の自由」「しなやかさ」などの言葉を繰り返し書いています。これがもしかしたらモイーズのねらいだったのかなと思えてきます。この「唇の柔軟さ」「唇の自由」「しなやかさ」などをさらに次の第2部「低音域における音の柔軟性」で意識させてくれます。

「メッサ・ディ・ヴォーチェ」

「ソノリテ」の翻訳者吉田雅夫氏によるとこのpp<ff>pp(メッサ・ディ・ヴォーチェ)は本来声楽の発声練習のためのものだったそうですが、フルートにも応用してほしい練習なのだそうです。音をよくする、旋律に表情がつけられる、アンブシュアの良い訓練になるとのことです。

 

第2部「低音域における音の柔軟性」では♩=60で4小節ノーブレスを要求されます。しかも16秒間吹き続けながらなおかつpp<ff>ppのニュアンスをつけなければなりません。私の肺活量は5千ccを超えていますが、それでも普通に吹くと息がもたないというのが正直なところです。

モイーズは病気で片肺を失ったという話を聞いたことがあります。それでも長いフレーズを朗々と鳴らしきっている録音などを聴くと、要するに肺活量で吹くものではないということをつくづく思わされます。「量より質」ではありませんが、質の高い息を要求されているのでしょう。

息の量ではなく、質の高い息を出すためにはまず息のスピードや圧力の調整などしっかりとした息の支えがまず求められると思います。その上で唇が自由かつ柔軟・しなやかにコントロールできなければならないわけで、アパチュアを微妙に広げたり狭めたりしながら、息のスピードも維持してppからffへ、そしてffからppへと移ります。このとき両唇の粘膜を使うことでまとまった息ビームが出せて、息の量だけに依存しない効率の良い響かせ方が出来るように思います。

 

「息の支えを鍛える練習でもある?」それにしても息のスピードも維持しながらppからffへ、そしてffからppへと変化させるためには本当にしっかりとした息の支えと唇の柔軟性がないとこの課題はクリヤーできないと思います。逆に言えばこの課題は同時に息の支えをしっかりしたものにするためのトレーニングでもあるような気もしてきます。

 

中音部・高音部の音質を改善するには、まず低音部の音質を改善しなさいとよく言われます。基音である低音を鍛えることによってその倍音から成っている中・高音部を改善できるというわけです。実際この第2部「低音域における音の柔軟性」を練習した後はそれが実感できます。

 

お腹いっぱいに息をいれて息のスピードの増減をコントロールしながら16秒間吹き続けるのは、初めは苦行のように感じられて、練習を始めるまでためらいがしばらく続きます。それでもこの第2部「低音域における音の柔軟性」を練習した後は、呼吸の使い方がしっかりしているのを感じますし、それにともなって音の響きに手応えがあって、やればやるほど大切な練習だと思えるようになりました。

                                            (その2に続きます)

 

うちのねこです。娘の部屋着のボンボンがお気に入りです。