1 キリスト教の発展
パレスチナがローマに征服され、ユダヤ教指導者層がその支配を受け入れる
→律法の遵守と形式的な儀礼を重視したパリサイ派が次第に支持を無くす
ユダヤ教と同一の唯一神ヤハウェを信仰
■キリスト教の成立■
イエス 前4世紀頃、ベツレヘム生まれ 大工ヨセフとマリアの子
神の絶対(無償の)愛アガペーと隣人愛を説く
ユダヤ教のパリサイ派を批判
前30年ころ ユダヤ教指導者たちに訴えられ、ローマへの反逆罪で総督ピラトによって処刑される
→弟子たちはイエスの復活を信じ、預言された救世主メシア、
キリストだと信じ、教えと十字架による贖罪を伝える
→キリスト教団の成立
使徒(イエスの弟子)
ペテロ…イエスの一番弟子、元漁師 「あなたは人間をとる漁師になりなさい」
「あなたはにわとりが鳴くまでに私を三度否定するだろう」
ネロ帝時代に逆さ十字架で殉教
その死地が現在のバチカン(聖ピエトロ大聖堂)
ローマ教皇はペテロの後継者
パウロ…ローマ市民権を持つギリシア人、
キリスト教を熱心に迫害し、ダマスクスへ向かう途中で回心
ローマ帝国に教えを伝え、異邦人の徒と呼ばれる
新約聖書の大部分を記述
聖典…『旧約聖書』
『新約聖書』3世紀ころまでにまとめられ、コイネーで書かれる
初期のキリスト教徒たちは多神教のローマ帝国下で迫害を受けるが、
地下墓地(カタコンベ)で信仰を守る(ネロ、ディオクレティアヌスなど)
■ローマ帝国とキリスト教■
ミラノ勅令(313年 コンスタンティヌス帝)後
ニケーア公会議(325)で教義を統一
→アタナシウス派(のちに三位一体説(父=神 子=イエス 聖霊は三位で存在しつつ、一体である)を確立)を正統
アリウス派 …(イエスの人間性を強調)を異端、ゲルマン人が信仰
テオドシウス帝がキリスト教を国教化(392)
エフェソス公会議(431)ネストリウス派を異端とする
(人性、神性両方あるが、人性は死と共に消えた。マリアを神の母としない)
→ササン朝で保護され、中国に伝播し、景教と呼ばれる
教会哲学…中世キリスト教神学の土台となる
エウセビオス 『教会史』
アウグスティヌス カルタゴの教父。マニ教から回心。『告白録』『神の国』
2 ローマの文化
⇒実用的文化…法律、建築など
⇒ギリシア人が活躍…“征服されたギリシアが、猛きローマを征服した”
(ギリシア・ローマの古典文化が後のヨーロッパ文明の源流となる)
叙事詩(三大詩人)アウグストゥス時代がラテン文学黄金時代
ヴェルギリウス…『アエネイス』(ローマ建国叙事詩 トロイアの落ち武者の漂流物語)
ホラティウス… 『叙情詩集』
散文
キケロ …ラテン散文の模範『国家論』共和政末期にギリシア思想を広める
カエサル …『ガリア戦記』
哲学
セネカ …ストア派『幸福論』→ネロ帝の師、ネロの命令で自殺
エピクテトス …ストア派、ギリシア人奴隷出身
マルクス=アウレリウス=アントニヌス …ストア派、哲人皇帝 『自省録』
ルクレティウス …『物の本質について』
プロティノス …エジプト生まれ 新プラトン主義を創始
歴史・地理
ポリビオス …第3ポエニ戦争に従軍 『ローマ史』(政体循環史観)
リヴィウス …『ローマ建国史(ローマ史)』アウグストゥスの依頼で執筆
カエサル …『ガリア戦記』(ガリア遠征の記録)
タキトゥス …『ゲルマニア』(原始ゲルマンに関する重要史料)
プルタルコス …『対比列伝』(英雄伝)ギリシア・ローマ史の比較
ストラボン …『地理誌』
自然科学
プリニウス …『博物誌』ヴェスヴィオ火山の噴火で死亡
プトレマイオス …『天文学大全』(天動説)
ガレノス …ペルガモン生まれ、マルクス=アウレリウスの侍医
ユリウス暦 …エジプト暦にならった太陽暦
前46年ユリウス=カエサルが制定
ローマ法 …都市国家時代の市民法として始まるがやがて万民法へ
→『ローマ法大全』(534年、東ローマ時代)
建築
パンテオン(万神殿)…ローマの神々をまつる
ローマ道 …ローマを中心に放射状に国道を整備
“全ての道はローマに通ず”
アッピア街道
(前314年着工、石で舗装された全長540kmに及ぶ)
水道橋 …ガール水道橋(南仏)
コロッセウム …ローマ市に残る円形闘技場
公共浴場 …浴場中心の娯楽センター
カラカラ帝建造のカラカラ浴場が有名
凱旋門 …コンスタンティヌス帝