第1回には今年で就任8年目を迎えた髙岡勝監督(平4人卒=静岡・聖光学院)が登場。関東大学秋季リーグ戦(リーグ戦)で4位に終わった昨季の振り返りや、8シーズン目となる今季への思いなどを伺った。
※この取材は4月20日に行われたものです。
「下剋上をしていきたい」
7シーズン目を率いた髙岡監督
ーー監督にとって7シーズン目となった昨年を振り返っていかがですか
去年の代は、ちょうどコロナの真っただ中に入ってきた1年生が中心になって4年目のチームだったんですが、非常に経験値やBIG BEARSに入ってからの練習が少ない代でした。我々は練習量が多くないと、練習試合などもしっかりこなしていかないとチームビルディングが難しい中、主将の目黒(歩偉氏、令6スポ卒=東京・佼成学園)を中心に頑張ってきました。不運なジャッジとは言われていますが、やはり仕上がりきれずになかなか厳しいシーズンで終わったということで、やり尽くしての4位ということをしっかりと受け止めて、今シーズン下克上をしていきたいと思っています。
ーー目黒前主将のもと昨年は変革が行われた印象ですが、組織面を振り返っていかがですか
目黒が3年生のときから色々発案をして変わってきたというところを受けて、それを早稲田の文化としてどれだけつなげていくかというところです。今もそれは引き継いでくれたかなと思います。
ーー昨年のオフェンス陣からは主力がかなり多く卒業された印象を受けますが、どうチーム作りをしていきたいですか
オフェンスはRBのメインの2人やQBが抜けましたが、昨年國元(孝凱氏、令6社卒=東京・早大学院)君がケガしている時に下から上がってきた八木(QB八木義仁、政4=東京・早大学院)君や、シーズン中には安藤慶太郎(社3=東京・早大学院)という新しいエースRBになりうる素材も出てきました。一番はOLのところをしっかり作って、今は再構築に取り組んでいるところです。
ーー一方でディフェンス陣は主力が結構残っているという印象ですが、どう見ていますか
ディフェンスは昨年も3年生中心にすごく頑張ってくれましたけれども、やっぱり詰めの部分とか、立教、明治との試合でも特に表れましたが、モメンタムが移った時に(流れを)切れるプレイヤーがいなかったです。そういう意味で、ゲームチェンジするプレイヤーが出てくることを、この春の課題として取り組んでいます。
ーー昨年の対談では、甲子園ボウルを経験し雰囲気を知っている選手がどうつないでいくかが大事と仰っていました。今年は非常に経験者が少ないと思いますが、そこに関してはいかがですか
フィールドに立ったのが4年生だけで、今年(甲子園ボウルに)出ないとまた戻ってしまう。リーグ戦制覇とその次というのは一つの命題だと思っているので、そこは学生と共に取り組んでいます。
ーー続いて、現チームについて伺っていきたいと思います。まず、キャプテンである小林(亮生主将、先理4=埼玉・早大本庄)選手には、ここまで主将としてどのような印象を持っていますか
昨年の目黒とまた違うタイプの主将で、小林を中心に今年は学生執行部っていう名前に変えようと。チームの運営・執行をしていくメンバーの副将、主務、総務含むという形で、それぞれのメンバーがそれぞれの役割をしっかり果たそうということでやっています。カリスマ性のある主将ではないですけれども、一つずつ着実にみんなを巻き込んでやっていってくれているので、彼の成長がチームの成長とリンクするのではないかと思っています。
ーー今年は副将が4人と例年に比べ多いですが、そこに関してはいかがですか
主将だけじゃなくて副将もそれぞれの特徴、彼らのいいところを生かした役割分担にして頑張ってもらっています。毎週毎週、彼らがミッションにどう取り組んで達成できているのか、まだ課題があるのかというのを確認しながら今やっています。
ーー副将の選手たちには役割を与えているとお聞きしましたが、どのような意図がありますか
副将は主将のサポーターではなく、チームにとって特化したリーダーだと思うので、そのリーダーが自分の特徴と一番輝ける役割を持ってチームのメンバーをリードしてほしい、ということでお願いしました。
ーー幹部の選手たちにはどのような働きを期待していますか
繰り返しにはなりますが、部員の代表として自分がチームをリードするんだということを、対外的にもチームのメンバーに認めてもらうような働きを期待しています。
ーーここまで新チームの練習やミーティングでの全体の雰囲気はいかがですか
昨年の自分たちは優勝したチームではない、ということを意識する発言がたくさん出ています。成長しようっていうのは本当にチーム全体で取り組んでいると思います。
ーー今年の4年生への印象はいかがですか
4年生は非常に仲がいい代なので、その良いところがチームの雰囲気に出て良いチームですが、良いチームイコール強いチームではないです。良いチームでさらに強いチームになれるように、そこが緩まないように4年生とは接していますが、非常に下級生ものびのびできるような環境を作ってくれていると思います。
ーーここまでチームのカラーというのは見えてきていますか
本当に良い意味で仲良しではあるので、そこが緩まないように、全員が一つになれるように、みんなで注力しています。
ーー昨年のチームとは違う点、変わった点はありますか
下級生の巻き込みっていうのをすごく意識しているかなと思います。
ーー続いて、監督ご自身について伺っていきたいと思います。8シーズン目を迎えられますが、今年のテーマはありますか
チームのスタート時に、チームの課題ということで「信頼」という2文字を作りました。信頼される、できるコーチ・部員とは、いうことで、どうお互いを分かり合って一つの方向に向かせるかというのを、改めて再認識しました。コーチ陣も結構増えたので、全員でそれを理解して取り組んでいこうということで、また新たな気持ちでスタートしています。
ーー毎年選手が入れ替わる環境で、どのようなマネジメントを意識されていますか
選手の入れ替え、部員の入れ替えでレベルが下がらないようにするという意味でのチームオペレーションは、努力してできることなのでやろうと思っています。一方で、例えば足の速い子、大きい子というような選手の能力は変わっていきます。そこは柔軟に対応できるように、スポーツ推薦で理想の選手像みたいなものが集められない中で、やはり特徴のある選手一人一人の特徴をどう生かすのかということを毎年コーチ陣にはお願いしていて、それを理解してくれているコーチ陣で構成しているので、そこが我々の取り組みだと言えます。
ーーBIG BEARSの監督を務める上で1番大事なことはどのようなところだと考えていますか
なかなか難しい質問ですね。でもやはりどれだけ部員のことを思えるかというか、部員が正しい1歩を踏み出せるかということを考えることが大事だと思っています。
来るシーズンに向けて
ーー続いて、今後の試合について伺っていきたいと思います。今月末には5年ぶりに早慶戦が開催されますが、監督ご自身の現在の心境はいかがですか
2年連続で慶應さんの非常にモラルの低いことで早慶戦がなくなってしまいましたが、非常にモラルも上がってきて、ここで「早慶戦を未来永劫できる会」っていうのを両チームで開きました。ライバルとして戦えるっていうことを楽しみにしていますし、プライドをかけて全力で勝ちに行かなければいけない試合なので、 非常にわくわくしています。
ーー監督ご自身は早慶戦への特別な思いはありますか
慶應だけには負けちゃいけないということで、紺色が嫌いです。(笑)
ーー早慶戦への意気込みをお願いします
本当に久しぶりの早慶戦で、今いる学生が駒沢陸上競技場で慶應さんとやるのは初めてということで、より多くのご来場いただいた方々に楽しんでいただけるような早稲田のプレーを繰り広げたいと思います。
ーーその後は春季オープン戦へと移り、まず関西大学との試合がありますが、この試合はどのような位置付けとして考えていますか
今年は立命館さんと(試合が)できなかったので、関西大学さんは唯一の関西リーグ、秋のトーナメントで倒さなければならない関西の相手との戦いということで。エースQBの須田(啓太)君も最終学年で主将で、どう関西大学さんと戦うか、これが秋のチーム作りへの指標となります。早慶戦、関大戦に全力をかけて、この2試合を秋のリーグ戦の最終節だという気持ちで、チーム一丸となって取り組みたいと考えています。
ーーその後もオープン戦が続きますが、秋のリーグ戦とつながっていく春季オープン戦で、選手たちにはどのようなことを期待しますか
今年は下級生が非常にモチベーション高くやってくれているので、どれだけ伸びてくれるか。特に2年生はあまり試合に出る機会がなかったですが、未経験の他競技から来ている選手たちも非常に動きが良くなってきているので、新しい顔ぶれが出てくるのを楽しみにしています。
ーー今季のキープレイヤーになると考えている選手を教えてください
やはり主将の小林中心のオフェンスと、ディフェンスは鈴木晴貴副将(基理4=神奈川・鎌倉学園)が非常に闘志を持って取り組んでいるので。 この2人は良いチームから勝つチームになるためのキーマンとして期待しています。
ーー今シーズンの意気込みをお願いします
全日本トーナメントが変わって、秋のリーグ戦は非常に短期間で7試合をこなさなければいけないですが、早稲田が勝つことで大学スポーツが変わると思って取り組んでいきますので、今年もご声援のほどよろしくお願いいたします。
ーーありがとうございました!
(取材 沼澤泰平、編集 田島凜星)
◆髙岡勝(たかおか・まさる)
静岡・聖光学院高出身。1992(平4)年人間科学部卒。監督として8シーズン目を迎える髙岡監督のチームマネジメントに注目です!