○ 広い ・・・ 相手をえらばれず、なされたお約束 ○
言うまでもなく、
この地球上で最も 「 広い 」 ものは、「 海 」 です。
海岸や船の甲板から、はるか水平線を眺めると、
海の広さに圧倒されます。
それでも見えている範囲は、海全体のごく一部ですから、
まさに「海は広いな、大きいな」。
海と陸の割合は、およそ七対三。
ユーラシア・アフリカ・南北アメリカ大陸など合わせれば、
陸地も結構広そうですが、海はその倍以上の広さがあるのです。
「 本願 」 は、「 誓願 」とも言われ、約束のこと。
約束には必ず相手がある。
親鸞聖人が、「 弥陀の本願 」を広大な海に例えられたのは、
そのお約束の「 相手 」が、とても「 広い 」からです。
阿弥陀仏は約束の相手を、
「 十方衆生 」 と仰有っています。
「 十方 」 とは、東西南北上下四維の
十の方角のことで、仏教では大宇宙のことをいわれます。
大宇宙には、地球のようなものが無数に存在することは、
今日の天文学では常識になっています。
それは、ちょうど、
大空間にたくさんの塵芥が浮いているようなものですから、
仏教では、「 十方微塵世界 」とも言われます。
この大宇宙に生きとし生きるすべての人を
「 十方衆生 」 と言われているのです。
大日如来や薬師如来など他の仏方にも、
それぞれ「本願」があり、約束されているのですが、
「 十方衆生 」を相手に約束されている仏はおられません。
どの仏さまの本願も、
「 こんな人とだけ、約束する 」 と、相手が限定されています。
ところが本師本仏の阿弥陀仏だけは差別なく、
「 十方衆生 」 と約束されている。
弥陀の本願には、老少善悪の人をえらばず(歎異抄)
親鸞聖人は、その「 弥陀の本願 」を
「 弘誓(ぐぜい) 」(弘い誓い)とか、
広い海に例えて 「 本願海 」 と讃嘆されているのです。
つづく