7月3日、伊豆山地区での土石流災害が発災して間もなく3か月が経過しようとしています。

 

昨9月25日は逢初(あいぞめ)橋付近で土砂撤去作業中、作業されていた方が重機とともに約3m下の逢初川に転落して、その後、亡くなられました。

その報に接して、何とも悲痛な気持ちになりました。ほんとうに残念です。衷心よりお悔やみ申し上げます。

今回の災害では26名の方が亡くなられ、不明の方が依然として1名おられます。


発生当初、メディアでは頻繁に報道されていましたが、徐々に少なくなり、全国的には忘れられつつあるように思います。

前回のブログにも綴りましたが、今回の災害の風化をちょっとでも遅らせることができるようにしようと、インスタグラムでは災害のことは出さず、熱海市のアピールをしようと、姫の沢公園、熱海梅園、スイーツなども取り上げました。

そして、今回のブログでは、先日体験させていただいたボランティア活動について、可能な範囲で記したいと思います。

ボランティアセンターが立ち上がって早々に登録したのですが、「立ち入り規制により活動範囲が限られていますので、1日あたり20~30名の活動を想定しています。」という制約のためか、なかなかお鉢が回ってこないので少し心配していました。

 

ようやく、9月中旬、センターから活動可能日の仮登録依頼のメールが届きました。

メールには、仮登録者数の少ない日を選んでほしい旨のことが記されていましたので、日程表の仮予約グラフで、まだ2名しか登録されていない日を選び、申請しました。

それから1週間経過しても何も連絡がないので、不安に思い、センターに問い合わせたところ、前日に連絡メールを送るので待っていてほしいとのこと。

翌日午後2時過ぎ、前日案内メールが届き、これで活動できることが分かり、ひと安心しました。

いよいよ当日。
朝9時から登録受付が始まり、体温チェックして、スマートフォンから二次元バーコードを読み取り、登録フォームに体温、健康状態、名前などを記入し、衣服等に貼り付けるワッペンラベルにも日付、名前などを記載し、上腕部に貼り付けました。

その際、記帳台にボランティアが初めての方は黒インクのマジックで、2回目以降は赤インクで、と注意書きがありました。見ていると2回目の人がほとんどでした。

当日受付が終わり、初参加者(3名だったような?)には簡単なオリエンテーション(活動に際しての心構え、守秘義務、コロナ対策の注意点)があり、ようやくワゴン車に乗り込み、現地へと向かいました。

私が最後に国道135号線を通って伊豆山方面を通ったのは4月下旬でしたので、およそ5か月ぶりになります。道路は逢初橋手前から瓦礫撤去と工事のため片側通行となっていて渋滞していました。

逢初橋を通過する際、ここを大量の土石流が海側に流れ込んでいた映像を思い起こし、徐々に緊張感が増してきました。

国道から側道に入り、急坂を上って、やがて伊豆山神社を過ぎると、現地のボランティアセンター本部があり、ここで下車し、一室でヘルメット、長靴、ゴーグルなど態勢を整え、改めて現地の担当者から今日の活動予定内容を聞き、いざ、現場へと向かいました。

来るときは急坂を上がってきましたが、今度は急な坂を下って行くことになります。機械音がする数十m先を見渡すと、土石流が流れていった通り道となったところを整備している数台の重機が作業していました。

ようやく、今日私たちが活動する家屋の前に着き、再び、作業内容の説明がなされ、家の中へ。

「KEEP OUT 立入禁止」と書かれている規制線のテープをくぐり抜けて、窓はすべて取り外されていて、玄関から入ると、手前の和室だった部屋はすでにほとんどの泥が掻き出されていました。

しかし、奥に進んでいくと、台所にも、他の和室にもまだ多くの泥が残っていました。畳は外され床板の状態でしたが、一部は腐っていました。

手分けして、スコップを持ち、泥の撤去作業にかかりました。これまで子供のころ、町内会の活動で、下水道掃除などをした際に、汚泥を取り除く作業などをした経験はありますが、いざスコップの先を入れて持ち上げようとすると、ちょっとの力ではすくえません。相当の力を入れなければ、水分を含んだ粘土状の泥はビクともしないことに驚きました。そして、それは想像以上にずっしりとした重みがありました。

かと思うと、乾燥して固まった状態の泥もあり、それらの中には割れた皿やガラス片が混じっていて、悪戦苦闘しながら作業を進めました。

すくった泥は一旦、大きなザル状の塵取りのようなものに入れて、それを仮置きし、さらに道に止めてある軽トラックまで持って行って積むのですが、わずか3、4mの距離ではあるものの、重いザルを持ち運ぶにもかなりな体力を要しました。さらに、粘った泥は容易にはスコップからは落ちてくれません。

この日は快晴で、昼頃には気温も30℃近くになり、コロナ対策のマスクをしながらの作業は過酷を極めました。とめどなく流れる汗を拭いながら、10分作業、熱中症予防と水分補給もかねて長めの15分休憩という感じで、午前は約2時間の作業でした。

昼休みになり、再び急坂をゼーイッゼーイッと息を荒くしながら上り、本部に辿り着き、そこから歩いて1分の伊豆山神社の鳥居横にある駐車場で、参加者数名で昼食を摂りつつ情報交換して分かったことですが、ある男性は今日で18回目の活動、ある女性は8回目というのです。

私は登録したのも早いほうだったのに、ようやく今日初めて参加できたことを話しました。2回目以降は、仮登録依頼メールを何回も利用して、活動登録しているとのことでした。彼らはボランティアセンターの要請で複数回来ているわけではなかったのです。

この日、16名の内訳は男女ほぼ同数でした。年齢構成も幅広く、私と同じくらいの方(違っていたらごめんなさい)から、40代、30代の主婦の方、中には20歳の女性もいました。

それにしても、みんな当然のような顔つきでこんなキツイ作業に何回も参加して、ほんとうに頭が下がります。私も人生初ボランティアでしたが、不謹慎な話ではありますが、参加できて嬉しかったです。

午後も午前と同じような作業と、別の家に移動して、一部床にまだ残っている泥を箒やブラシで取り除き、また、別の家では泥だらけになった家電や家具などを運び出す作業などを行いました。

午後2時半頃、作業を終え、泥だらけのスコップなどの道具を洗い清め、3時過ぎ、再び本部に戻り着替えて、4時頃に市役所に戻ってきました。

今回、ボランティア活動をしてみて感じたのは、参加者の年齢もまちまちだと記しましたが、みんな同じ目線で、近所で困っている人がいたら手を差し伸べる、やはり、気さくな地元愛が彼らを行動に導いているのではないでしょうか。

一方、私はといえば、まだこの街に愛情は芽生えてはいませんが、今回の活動を通して、これまで住んできた都会とは違った側面が垣間見えたような気がして、ほんとうに参加してよかったと思っています。

その証拠に、教えてもらったように、その翌日には2回目の仮登録も済ませましたから。