「旅人の100ユーロ」 | 男子中学生の日常

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おバカな日常
戦いの毎日
中学戦日記として勝手に
日常の会話を綴る…

「旅人の100ユーロ」





ときは8月、黒海沿岸の町。
雨にぬれる小さ な町は活気がなく、
すっかり寂れていた。
人々は借金を抱えて苦しい生活をしているの だ。


その町へ、一人の旅人がやってきた。
そして町に一つしかないホテルに入ると、
受 付のカウンターに100ユーロ紙幣を置き、
部 屋を選ぶために2階へ上がって行った。


ホテルの主人は100ユーロ紙幣をひっつかん で、
借金返済のために肉屋へ走った。


肉屋は同じ紙幣を持って養豚業者へ走り、
1 00ユーロの借金を返した。

養豚業者はその紙幣を握ると、
つけにしてあ る餌代と燃料代を払うために販売業者に走っ た。

販売業者は100ユーロ紙幣を手にすると、
こ の厳しいご時世にもかかわらず、
つけでお相 手をしてくれる町の遊女に返そうと彼女のも とに走った。

遊女は100ユーロ紙幣を懐にしてホテルに走 り、
たびたびカモを連れこんだホテルに借り ていた部屋代を返済した。

ホテルの主人は、
その100ユーロを受け取る と、
紙幣をカウンターの元の位置に置いた。

ちょうどそのとき、
部屋をチェックして2階 から降りてきた旅人が、

どの部屋も気に入ら ないと云って
100ユーロ紙幣をポケットにしまいこみ、町を出て行った。

誰も稼いでないけど、町中の誰もが借金を返 し終わり、町は活気を取り戻した。