「しんがり」のあらすじや感想を紹介していきます。
ビッグモーターの事件がきっかけでこの本を知りました。
山一證券が自主廃業したとき私はまだ生まれていませんでしたが、色々と考えさせられる内容でした。
そして、色々な意味で社会人は人脈が命だということを改めて感じました笑
こんな人にオススメ
- 自分の利益のために嘘をつくことが苦手な方
- 会社員は嘘がつけないと損をするだけなのではないかと思う方
- 市場価値について考えたい方
あらすじ
かつて四大証券の一角を担っていた山一證券。
ある日、ギョウカンこと業務管理本部に警察の捜査が入ります。
そこで山一證券には2600億円の簿外債務(公開していない借金)が発覚。
しかしそれは場末と呼ばれていたギョウカンはおろか、ヒエラルキートップの法人部門や役員すらも知りませんでした。
証券取引法違反だったため日銀からの融資を受けることも裁判所に破産申請をすることもできず、自主廃業を余儀なくされます。
社員が我さきと再就職する中、会社に残って実態調査や精算処理を行う社員たちがいました。
ギョウカンのメンバーです。
一見、不遇の道をたどったようにも見えますが、精算処理を終えた彼らは言います。
「自分たちが引いたのは貧乏くじではない」と。
印象的だった部分
- 人はいつか死んでいく。だが死別は全ての喪失を意味するわけではない。その人を記憶するものがいる限り、他人の心の中で生きることができる。(p. 373)
- 会社が潰れて全員が不幸になったのか。否ですよ。(p. 422)
感想
私はまず、不正を犯した企業の場末と呼ばれた場所にいても全員が再就職できていることに驚きました。
この本をきっかけに、市場価値とは「どの会社にいたか」ではなく「困難から逃げずに向き合えたか」によってついてくるものだということを改めて実感できました。
ギョウカンのメンバーは全員が山一倒産後に2社以上を渡り歩いたということも興味深かったです。
当時は1社に勤めあげることが当たり前だっただけに、ギョウカンのメンバーは会社が潰れても行くあてのある、真の意味での安定をしていたのではないかと思いました。
補足
本文のp. 407で描かれている元千葉支店副支店長は、恐らく以下の動画に出ている方なのではないかと思います。