「一億総ガキ社会」の内容と感想を紹介していきます。
いわゆる「最近の若者」に起きている問題点や改善策について書かれており、共感できるところもたくさんありました。
この本は2010年に書かれたそうですが、そんなに昔からこの問題があったということにびっくりしました(個人的には2020年くらいに書かれたと思っていました笑)。
こんな人にオススメ
- 現代社会に生きづらさを感じている方
- 20代、10代の方
内容
現代人に多い3つの問題
精神科医をされている筆者によると、診療の場では以下の3つのパターンの人が増加しているそうです。
- 打たれ弱い人間(引きこもり、不登校など)
- 他責思考の人間(モンスターペアレント、新型うつ)
- 依存症の人間(薬物、アルコール、インターネットなど)
ちなみに新型うつとは普段は憂鬱としているけれど、自分の趣味になると活力が出てくる種類のうつのことです(以前のうつでは趣味に対してもやる気が出ない人が多かったそうです)。
なぜこのような人が増えているのか?
筆者はこの原因について、「自分は何でもできる」という万能感と何もできない(は言い過ぎかもしれませんが)現実のギャップを受け入れられなくなっているからだとしています。
幼少期の子どもはこの万能感を当たり前に持っていますが、大人になる過程で捨てていきます(絶望というわけではなく「そういうものなんだ」と受け入れていく感覚です)。
しかしこの万能感を捨てきれない人が増えていることから、筆者はこの現象を「成熟拒否」「一億総ガキ化」と表現しています。
この本ではそれぞれの問題が生まれた根深い背景や、「成熟拒否」に対してどうアプローチしていけば良いかについても書かれています。
少しでも自分や周りの人と関係ありそうだと感じた方は読んでみてはいかがでしょうか。
印象的だった言葉
- 「問題のある子」と言われたくない、自分も「子育てに問題のある親」と言われたくない(p.91)
- その(依存症の)重圧から解放される手段の一つとして依存症が増え続けている(p.144)
- わが子を負け組にしないように叱咤激励して受験勉強、スポーツ、習い事をさせることに熱心な親が増えている(略)希望を託せるのは子どもしかいないのである(p.148)
- この頑張り(高度経済成長)は敗戦という対象喪失による抑うつを回避するために躁状態になる「躁的防衛」(p.228)
- 「失われた10年」はまさに「うつの時代」だった(p.228)
感想
この「一億総ガキ化」は多かれ少なかれ、今の学生や20代の人は実感しているのではないでしょうか?
私はこの本を読んでその原因の根深さを知り、個人の力ではどうしようもない時代の流れの影響も大きく、ある程度は仕方のないことだったのではないかと感じました。
また高度経済成長を躁、現代をうつと例えていたのが個人的にはしっくりくるような気がしました。