ものすごく、ものすごく、寒い。
12月8日。
1ヶ月前の11月8日。
数枚の紙に自分の名前を最大限丁寧に書き、そして朱肉を叩いた印を押した日。
あれほど必死になって詰めて配送した荷物を、ものの数時間で片付けた日。
毎日着た、アイロンをかけたあの碧い制服を、返した日。
必要なだけの掃除をし、全く空になった部屋を感慨深く眺めた日。
皆の前で情けなく涙を流しながら、拙いお別れの挨拶をさせていただいた日。
クラスの一員として、皆の顔を見た最後の日。
教官方に「お前がこの組織から居なくなると、惜しい」「お前は必要な存在だ」「お前なら出来るから。待ってるから」「お前はずっと俺たちの生徒だから」…そんな有難い御言葉を沢山、たくさん頂いた日。
感謝している、それ以上に尊敬している教官方に、「ハグしていただいて卒業するのが夢だったんです」とお願いしたら、「この御時世、ハグはちょっと…」と押し留められ、その代わりに、と握手をしていただいた日。
9月中頃からおかしくなり始めた心。
自分でも自覚していた。
だけど、どうにもできなかった。
自分は必要なのか。
自分は使える人間なのか。
自分はもしかしたらこの中でマイナスにしか作用していないのではないだろうか。
自分には才がないのではないだろうか。
自分は弱い。
自分は不必要なのだ。
自分は居ない方がいい。
日々がモノクロになり出した。
何処に自分の居場所なんてあるものかと。
ただ悩み、考え、意味も無く苦しんで滂沱の涙を流していた。
進むべき前も、目指すべき上も。
全てが真っ暗で。
もはや自分自身が目を開けているのか開けていないのかも分からない状況。
恐る恐る差し伸べた手を、振り払われるとか、もしかしたら薙ぎ落とされるのか、万に一でも握り返してくれるのか。
それともなんの感触もないのか。
頬を伝うものが、何なのかも分からないなかで。
無情に、そして恐ろしく当たり前にも時は過ぎて。
その中を私は動き続けて居なければならなくて。
自分のためでなく、ひとのために有りたいと思うのにそれすら出来なくて。
1のことを感じれば、5までは必要だと先回りして考え、判断して行動し。
疲れて。疲れて。疲れて疲れて疲れて疲れて疲れて疲れて………
気持ち悪くなり、食事を摂らず訓練を受け1日を過ごしたり。
起きるべき時間に起きなければならないと分かって居ながら、毎夜無駄なことを考えて十分な休養がとれなかったり。
感情を押し殺し過ぎて涙を流せなくなっていたり。
親に心配をかけたくなくて、唯一心の緊張を解ける場所で一番歯を食いしばっていたり。
毎日のランニングのときにすら、過呼吸を起こし、周りの方に迷惑をかけて。
嗚呼、自分はなぜこんなにも使えない人間なのだろうと。
実感して。
1ヶ月前の11月8日。
退職しました。
今では量は少ないですが3食食べます。
明け方までは起きてしまいますが、寝ることはできます。
泣くこともできます。
でも。
もう真っ暗じゃない。
明かりは見えているはずなのに、見えていないふりをしている自分が情けない。
まだ私には、薬が効いていないようです。