- リトル・ミス・サンシャイン [DVD]
- ¥2,690
- Amazon.co.jp
アリゾナからカリフォルニアまで伸びるハイウェイを走るおんぼろのフォルクス・ワーゲン・ミニバス。埃っぽい砂漠をひた走る黄色い車に乗ったフーヴァー一 家の物語『リトル・ミス・サンシャイン』こそが大作がひしめくサマー・シーズンのフィナーレをサプライズ・ヒットで締めくくった家族再生の物語だ。製作ま で5年かかったアートハウス・ムービーの前評判が高まったのは、昨年末。『40歳の童貞男』で人気上昇したスティーヴ・カレルの新作ということで、ハリ ウッドのディール・メーカーが虎視眈々と狙い始めたのだ。その後、1月に行なわれたサンダンス映画祭でプレミア上映されるや、熱狂した観客のスタンディン グ・オベーションで場内が割れんばかりに盛り上がる結果に。即座に配給権をめぐる争奪戦が勃発し、契約金は同映画祭史上最高額にまでハネ上がった。ハリ ウッド業界はもちろん、映画ファンの間でも一気に期待値が上昇した。
アリゾナに住むフーヴァー一家は、“リトル・ミス・サンシャイン”コンテストに繰り上げ参加することとなった娘オリーヴを連れてカリフォルニアに向けて 出発。独自の成功論を振りかざす家長リチャードとバラバラな家族を必死でまとめようとする母シェリル、家族を嫌って沈黙を続ける長男ドウェーン、ヘロイン 常用者で言いたい放題の祖父、失恋が原因で自殺をはかったプルースト研究者のフランク、そしてビューティー・クィーンを夢見るオリーヴが乗ったミニバスに は一触即発の空気が漂う。そして、オンボロバス車までもが故障し始める。フーヴァー一家に危機に次ぐ危機がふりかかる!?
ハリウッドの人気ジャンルであるファミリー・ドラマとロード・ムービーをミックスさせた型破りで斬新な脚本を書いたのは、新人マイケル・アーント。強烈 に風刺的であると同時に深い人間性を備えた本作が描くのは、機能不全に陥った家族の再生だ。美少女コンテストへ向かう旅路でさまざまなハプニングに遭遇す るうち、互いに理解しえないと思い込んでいた家族の心が徐々にほぐれていく。そして、思いがけない形で一家が団結することになるのだ。成功し勝者となるこ とが絶対とされる現代社会において、敗北することによって得られる何かがあると伝えてくれる。非常にエモーショナルな展開だが、随所にはさみこまれた皮肉 なユーモアがピリッとしたスパイスとなり、泣かせるのが目的といった作品とは一線を画している。
前述のカレルのほかにもグレッグ・キニアやトニ・コレット、アラン・アーキンといったオスカー候補組が脚本に魅了されて、出演を快諾。またアート系監督 のお気に入りとなっている新鋭ポール・ダノとナチュラル演技でポスト・ダコタ・ファニングと噂される子役アビゲイル・ブレスリンが機能不全なフーヴァー一 家にリアルな息吹を与えた。
監督はこれが初の劇場長編となるジョナサン・デントン&ヴァレリー・ファリス夫妻。脚本に惚れ込んだふたりは、ミュージック・ビデオやコマーシャルの世 界で規制概念を打ち破るクリエイターとして名を馳せている。ブラックな笑いの中に家族の絆と優しさが伝わるオフビートな本作は、エキセントリックな彼らの 監督デビューにふさわしいものとなっている。