渡辺さんの話の続きです。

 

外国人労働者の実態

⑤番目、これは写真がついていますけど、何やってるかというと、先ほど言った使用済み燃料プールに、いろんなものを落としてしまうんですね、ペンとか本とか。それをどうやって拾うかというと、人間がこのように潜水服を着て潜っているんですよ。で一回1時間くらいやると200300ミリくらい被曝するんです。日本人は年間50ミリまでとなっているので、日本人にはやらせることができず、外国人にやらせる。そんなの嘘だろうとわたしは思ってたんです。終わったらビール飲ませるっていうのは事故前から聞いていたんですけど、ほんとかいなんと思ってたんです。そしたら事故の後ある社長が「いやほんとなんだ。俺の知り合いのなんとかという会社は潜らせんだ。200300万円。物落とすと高くつくんだよね。」なんて言ってたんです。そしてその労働者は国に帰ってその後どうなったかは全く分かりません。200300ミリシーベルトといったら、かなりですよね。おそらく何らかの影響はでるのかなという感じです。

 

 

ピンハネの裁判

10ページ目です。先ほどの須藤さんの危険手当の裁判。実はこの前負けてしまったんです。でもどれくらいピンハネされているかという話は少し明らかになりました。。12万円ピンハネしていたんです。事故が起こってから特にこういうのが酷くなりましたけど、事故前からピンハネはされていました。原発に行く人を送り出していたある会社の社長と話したことがあります。「事故前うちでは多いとき70人くらい雇っていたんだ。111万円ピンハネできんだ」。70人いたら170万円お金入るんですよ。特に工具とか機械とか揃える必要はない。人を送り出すだけ。「一般の道路とかの工事とかはもうからない。工事やってちょっとミスがあると、利益が吹っ飛ぶ。だけど原発は儲かるんだ。2.3年やるとビルが建つくらい儲かるんだ」。ていうんですよ。だから事故の後なんかは末端の会社はレクサスなんか乗ってますよ。そうやってピンハネした金はどこに行くか。暴力団に行ったり、原発を推進する国会議員にいったり、東電にいって、まわりそれが裏金として使われたりするようです。よく末端の会社には自民党と国会議員のポスターがデーンと貼ってあったりします。でまあこういう裁判負けてしまったんですけど、そういう中でも裁判に関っていないけど、お金を払う会社は出てきました。例えば東芝関係なんかは、退職した人に対しても15000円払ったとか。あるいはわたしに相談しに来た人からは、「わたしの名刺渡して自分の会社に言ってみろ。『渡辺さんから裁判やんねえかって勧められたんだ』って社長に言ってみろ。そりゃやめてくれ!てなって11万円上乗せするようになった」という話も聞きました。いろんなやり方があるなと感じました。

 

健康問題

健康問題です。東電にも相談窓口があります。しかし2年前に東電に確認したときにほとんど相談がないんですね。東電に相談したらあとで会社から叱られると思ってるのかなと思います。

原発の構内に医務室があります。そこには自分の会社から行かないでくれと言われてる。何のための医務室かわからない。とにかく行けばどこで怪我したかどこの会社か聞かれるので会社が困る。だから行かないでくれと言われている。

暑いときにとにかく熱中症になるから、気分が悪くなったらすぐに申し出てくれ、熱中症になったら大変だからと言われていた。そして頭が痛くなってきてこれ危ないなと思って監督に言ったそうです。そしたら「みんなの前でよく言った!偉い!」と言われたが次の日には首を切られたという話です。とにかく、都合の悪い者は首を切るということです。

あと健康不安については、口に出すとますます不安になるからしないんだという話です。子供に障害が出るんではないか、家族に原発で働いていると言ったら心配されるから家族には言わないんだなんていう人までいました。その中で民主医療連合会という病院の組織があるんですが、今年に2回そんな相談会をやったりもしています。

 

ブラックすぎる実態

箝口令(かんこうれい)。最近はそうでもないが初期の頃は「健康被害があっても訴えません、マスコミなんかにはしゃべりません」という書類にサインさせられる。そんな会社もありました。末端の会社なんかではある作業員が東電を訴えたりした。そしたら上の会社ごと全部切り捨ててしまう。従業員20人くらいが全部首切られて、そこの会社がSという会社だったんですが、全員首切られてしばらくの間仕事がないということもありました。

労働条件に不満を持った人のイタズラが心配。バルブが開いていたなんて日には誰かがイタズラしたんだろうという話もありました。ある労働者から実家に帰ったんだという話を聞きました。使用済み燃料を扱う仕事をしていた労働者なんだけれど、実は離婚したんだと聞いた。子供もいて奥さんもいたけど、離婚して守るものがなくなった。それで会社に不満を持っていたのでイタズラしようと思った。核燃料を扱う仕事のイタズラは大変な話ですよ。「だけど俺我慢したんだ」という話を電話してきました。場合によっては機械をぶち壊すんだと叫んだ人もいると聞きました。

一昨年の夏まで働いた人で統合失調症、幻覚見たり聞こえないはずの音が聞こえたり、場合によっては鳥とおしゃべりできるなんていう感じになります。そういう人が他の会社では雇ってくれなかったが、原発の会社は雇ってくれたという話もあります。疲れたら幻覚が見えるんだなんていうことですけど。そういう人が汚染水扱う仕事です。大丈夫なんだろうか。一般の会社では雇ってくれないような人も。とにかく人を集めるために雇う。

次は電気関係の会社の社長です。2007年に新潟で大きな地震があったんです。新潟中越地震。新潟の柏崎刈谷原発が事故を起こしたんです。福島みたいな事故にはならなかったんですが、その後全国の原発で電気が止まると大変だからと、電気を作る発電車、自動車を設置しましたよとなったんです。だけども、この会社の社長が言うには飾りに過ぎなかった。自動車で電気を作っても、それを原発に繋げるためのソケットがなかったんです。それはソケットとかそういう配電盤を設計する仕事をしている人だからそこらへんが分かるんだ。実際に車はあってもその電気は使えなかったんだよねという話だったんです。最初の頃は話を聞いてもこういう紙に書いて残すことはしなかったんです。誰が喋ったかばれちゃうから。そしたらある人がその話は有名だから、書いても大丈夫だと言われたので書くようになりました。

除染労働者の被曝線量管理です。1年以上作業した人がいるんですけど、みなさんが今日行ったところも除染してたと思うんですけど、急性の白血病になったんです。どれくらい被曝したか調べたらゼロというデータしか出ないんですが、ゼロってことはないだろう。データが改ざんされていたとしか思えません。環境省なんかが出している汚染の地図なんかを見たら多くて6ミリ以上は被曝してるだろうなということで、あした基準監督署に申請にいく予定です。登録されているデータがデタラメだとなれば大騒ぎになるなあと思っています。

 

 

https://pds.exblog.jp/logo/1/200504/01/67/d001686720090925084429.jpg質疑応答

Q 1年以上除染作業に携わって急性白血病になったというやつなんですけど、病気になった時点で東電から医療負担とかはあったんですか?

A この人は除染なので環境省発注の作業をしていたので、そのようなものは一切ないです。自己負担です。7ヶ月入院して同じ病気の人が次々死んでいった話や、200万円かかったという話も聞きました。そしてこの人は6年前に発病したんですけど、たまたま別件で知り合った人で、労災というのは会社が払うものだと思ってたんですね。本当は公的な保険なんですけど。だからうちの会社はそんなんはらうはずねえべ、と思って諦めてたんです。だからあした申請したとしても、6年前のは出ないんですね。2年前までしか無理。でもゼロっていうのはいくらなんでもねえべ、ということであまりにもふざけてるということで労基署に申請しようということです。それで末端の作業員というのは労災や権利についてあまり意識がなかったり、分からない人が多いなと感じるので、そこもちゃんと手を伸ばしていかなければいけないと思います。

 

Q 外国人労働者がプールに落としたものを拾っていた件で、外国人労働者は事前に被曝することを知らされていたのでしょうか?

A どうでしょう、言っていたのかな。でもかなりやばい仕事だとは分かっていたでしょうね。震災前からこの話はわたしも聞いていて、「渡辺さんたち原発に視察に行ったとき外国人がビール飲んで真っ赤になっているの見たことないかい」と聞かれたことあったんですよ。俺、見たことないなあと言ったら、「そうかあそういう人たちが行くときは見せないようにすんだべ、終わるとビール飲ますんだ」要は利尿作用あるから出るんだということなんですけど、ビール飲んで出るっていうのは明らかに嘘だなあと。日本人は年間の被曝限度量が決まっているので、だから外国人を使って自分の国に帰ったらあとは分からないということです。

事故直後、よく言うのがとにかく疲れたと。言われたんですが、倦怠感がすごいんだと。広島で被曝した人たちも倦怠感がすごいので、原爆ブラブラ病とかそんなかんじのことを言うんですね。被曝してとにかく椅子に座っているのも疲れてしまう。そういった症状は少なくとも出るんじゃないかなと思います。

 

渡辺さんの話を聞いて

 私はあまりにも酷すぎる実態に驚きました。中でも一番衝撃的だった内容が、使用済み燃料プールに物を落とした際、外国人労働者に潜らせているということです。日本人は年間の被曝量が決まっているから出来ないそうですが、それは外国人にも言えることだろうと思いました。日本人が危険なら同じ人間である外国人ももちろん危険なはずです。そのような電力会社の態度に納得がいきません。また、ビールを飲ませて体内から汚染物が出るというのも明らかな嘘であり、事実を知らない外国人を騙していることは決して許されないことだと思います。このような信じがたいことが私たちの知らない場所で起こっていると思うとぞっとしました。あまり明るみには出ていないそうですが、もっと多くの人に認知してほしいと思いました。

渡辺さんの話を聞いてマスコミも報道していないような酷い実態を知りました。この経験は実際に福島に足を運び、現地の方々のリアルな声を聞いたからこその貴重な機会でした。大学でインターネットや書籍を使って調べても学習できない価値のある学習だったと感じています。私たちはこの経験を無駄にしてはいけないと強く思いました。このことをもっとたくさんの人に伝えて、一刻も早く解決すべき問題だと感じました。