初見
ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した今井正監督の作品というのは知ってましたが、ホラー系かとも 勘違いして白黒ということもあって見ていませんでしたが、 これはあるホラー よりも残酷な物語でしたねぇ
しかも関ヶ原後の戦国末期から江戸時代そして明治、昭和と連なるある一家の悲しい歴史をオムニバスで繋ぐ話ですから見ていてかなりストレス、苦しい思いが募ってくる作品です。
萬屋錦之介(当時は中村錦之助)さんがお小姓から老武将まで全ての話の主人公を演じ、
それぞれ歴代の主君たちに非道な仕打ちを受けていくのですが、
家を潰さぬ為細々とでも守る為に受け入れ暴君等は錦之介さんの後の痛快時代劇『破れ傘刀舟悪人狩り』の様な《叩っ斬ってやる!》と成敗される事無く話は次の代へと移っていくんで、見てる側もフラストレーションが溜まって来るんです!
豪華キャストが悲劇の彩りを添えていくわけですが、コレが豪華キャストとわかるのはアラカン世代までかなぁ?
今もご存命は三田佳子さんぐらいですねぇ。
この中で一番卑劣な主君は江原真二郎さんが演じていた田沼時代の暴君ですねぇ!
この殿様ぐらいは成敗して欲しかったなって本当 思いましたねぇ、、
(個人的にここのパート田沼意次の子意知が悪役的に出てくるん残念でした)
明治になって最後の藩主となった加藤嘉さんの狂気の演技も怖かったです。
明治になっても藩にこだわる若者
第2次大戦時主君が帝国となっても何も疑わず死んでいく特攻隊員
そして 映画公開当時の戦後の日本
今度はサラリーマンとして会社に全てを捧げる若者と時代 時代によっ錦之介さんが演じ分けてるんが大変印象的な1本でしたが、城主であれ国であれ会社であれ時代は変われど隷属していく日本人の哀れさ見せつけられた1本
とても考えさせられた映画作品でありました。