「まさか…本当に……え、エルヴァンティスか! 戦王(せんのう)エルヴァンティス!!」

 悲鳴に近い声を上げてうろたえる末氏を見据えた最上は、右手に法印を出現させながら再び口を開いた。

「よくしゃべったな…」

 スッキリしただろう? というような口調だった。じりじりと歩み寄る間に、また一人胴体を吹き飛ばして倒れる少年。悲鳴を上げ、口から血を噴き出していた。

「では死ね」

 狼狽しきった敵勢に視線を向けた最上は、魔界への精神的論理回路を開いた。散れ! と誰かが叫ぶ。

 脳裏に蘇った法印を強く念じて、最上はまるで忍術でも唱えるかのように、胸の前で立て続けに印を組む。すると白光線の幾何学的な模様が手元に幾重にも出現した。それがフラッシュした次の瞬間、法印は霧散し、突如縦横に走る白い閃光の嵐が目前で吹き荒れた。

 よく映画などで、防犯用の赤外線センサーが網状に張られている映像がある。最上の魔力は白い閃熱のセンサーで、丁度それを一瞬現したようなものであった。

 かわしきれなかった者の防御結界を破壊して、彼等を射抜くと、その身体は白く瞬き、その一瞬で塵となって消し飛んでいった。

末氏の張った結界も、怒れる最上の前に瞬時弾け飛び、魔力をかわし損ねた胴体の一部を吹き飛ばされて、よもや彼も絶命寸前であった。

「結界など張らねば楽に死ねたものをな…」

 最上がそう言って歩みより水鏡の結界の傍に立った。

「ヴァ…テイン、様に……ほ、報、告……を」

最上の魔法をかわした眼鏡、四角、顎鬚の三人が末氏に頷き、一箇所に寄り集まると中央の一人が法印を発現する。とたんにその足元から水が噴き出して三人を隠し、水と共に退却した。

「ガフッ! 貴、様…が……ま、魔王…」

 最後、大量に吐血した末氏はそこで絶命した。