部屋は暗い雰囲気に包まれていた。最上は今日これが二度目になる。

全ての事実を知らされた水鏡は、最上の膝の上で泣きじゃくった後、そのまま泣き疲れてぼんやり外を眺めていた。

夕暮れの空は、いつか最上と眺めたあの空を水鏡に思い出させる。水鏡の眼から再び涙が溢れる。一度だけ静かに眼を閉じて、再び開くと、溢れた涙を拭おうとはせず、再び窓の外を見ていた。

やっと廻り逢えた、痛みを分かち合える人。大急ぎで手を伸ばし、半日かけてやっと届いた人。想いを伝えて、それを受け入れてくれた人。その人は人間ではなかった。水鏡は身体を起こした。

腕組みをして外を眺めていた最上と七海。そして一部始終を聞きながらとうとう動揺一つ見せず、水鏡を見守っていた藤堂。三人は水鏡を注視した。

「…良く…分かりました……」

 水鏡は姿勢を改めて、左右の涙をそれぞれの手で一度ずつ拭うと、やっとそれだけ言った。

「どうだ? 立ち直れそうか…」

相変わらずソファーに身を沈めたまま、七海の言葉は優しかった。

最上は、これからの身の危険を考えて、水鏡との関係を改めるべく、意を決して口を開いた。

「済まないな。こんな事になって。……俺、嬉しかったよ。携帯が鳴って…葉月の声が聞こえて…腕組んで歩いてさ…食事して、映画見て、喫茶店でコーヒー飲みながら会話して、ウィンドウショッピングも…それから…………あの屋上に二人でいた時間……初めてだった………」

 気が付くと水鏡の表情は意外に険しかった。最上が訳を尋ねるよりも先に、水鏡は最上に掴みかかり、体重を使って最上を激しく揺すりながら口を開いた。