「ウチ、あんさんに会いに来たんよ。他の二人は別なんやけど。せやから霧隠れして逃げてきたんや」
他の二人だと? 最上は思った。一人はフォウリエンか。今一人は?
「ね、ね、力って何かな?」
藤堂が畠山の右を歩きながら尋ねた。
「超能力や」
畠山が適当にあしらう。勿論そのようなものとは違う。魔神の能力。魔法なのである。
「仲間がいたはずだが?」
今日の英文読解の授業を思い出して最上が問うと、右側に並んで歩く畠山は答えた。
「ああ、ウチにもおるで。先日の十勝瑛子(とかちえいこ)、フォウリエンや。それに前芝康孝。言うたやろ? ハスナワー。あと、今日来とるんは、末氏琢也(すえうじたくや)っちゅう不良の頭やねん。ま、言うてしまうとテイラスや。そして先日あんさんに酷い事をしようとした村田泰治(むらたやすはる)。メイジョフな。…消されてもうてんねんけど。四人とも不良や。せやけど皆えー奴やで。…もう、二人も消されてもうてん…」
「メイジョフ?…テイラス??…むぅ…」
水鏡が最上の左で、最上の腕に組み付いて歩きながら呟く。
「ニックネームや」
畠山は相変わらず平然と言ってのける。最上は思い切って尋ねた。
「末氏ってのはどこに行ったんだ? 一緒に来たんだろう?」
「フォウリエンと一緒や、ヘイラムと、あと、なんや…あの不良。ごっつう喧嘩慣れした感じの茶髪やった。何かやけに長いの穿(は)いとったで? 今頃駐車場で二対二や」
最上は思わず走り出そうとした。ところが水鏡を振り解く事もままならないうちに、畠山が右腕に絡み付いて叫ぶように言った。
「あかん! 行ったらあかんて! ウチら二人も殺られとんのや! テイラスもフォウリエンもマジやで! 大体あんさん関係ないやろう。ちゃうんか!?」
「ねえ、やっぱあの駐車場で何かあったんじゃないの? 二人で出て来たよね? あの黒いスーツの女の人は誰? 七海さんあそこで何やってたの? ねえ、最上君! 貴方の周りでいったい何が起こってるの? 教えてよ!」
閑静な住宅街を抜け、森に入った所で、水鏡は最上の前へ回り込み、はぐらかしを許さぬ勢いで力強く迫った。