「で、魔界はその世界毎に、特質、構造、規模等、多種多様なんだ。例えば、空間的に遮られた全七階層で一つの世界を構成している魔界もある。上位魔神の統率する魔界ほど規模が大きいのが一般だね」
七海はここで話を区切った。最上の様子に注意しながら、何やら思案している。
最上は取り敢えず今の話を、ゲームか何かの魔界に関する話のつもりになって聞いていた。七海の後を桜木が続ける。
「魂に宿した魔力は勿論、それを用いて引き出した自然界の力や、魔界への論理回路を開き、魔界の力を身辺に行使できるのも魔神の力、いずれも『魔力』と呼んでいる。魔力は人間にも行使でき、魔法使い等がその主な例だ。この世界の人間にそれが出来るかは知らないが」
今度は魔力の話である。桜木は視線を使って、七海に話を振った。次から次へ語られる自称真実ども。仕方ない。まずは話を聞く事だったはずだ。最上は諦め掛ける度に、自分自身に言い聞かせ、辛うじて集中力を維持すると、ここでも続きを促す事にした。
「それで?」
桜木と最上に促されて、七海は再び口を開く。
「人間の住める魔界もある。魔界の大気は『魔界気』と言って、魔力や瘴気を孕んだ、まあ、人体には危険な場合もあるんだけど、人間の住む世界はそれが薄いか、または無いんだよ。魔法使いはそんなとこで生きている人間達の生業だな。力を追求する魔神達には、そりゃあ敬遠される。論理回路を開いても、大気が魔力を帯びてない以上大した力は手に入らない。自然界の力以外は引き出せないからね。魔神には魔界が必要なんだ。上位魔神がその手に望む世界は魔界気の濃い世界さ」
七海はここで最上の様子を確認した。そして爽やかな笑みを浮かべながら「大丈夫?」と言った。
「…魔神というのは魔界を支配、帰属する事で、自らの力を拡充したいのか…?」最上は何とか話について行った。
魔界があり魔神がいる。場合によっては人もいる。そして魔界は魔界気と呼ばれる魔力を含んだ大気に満ちている。魔神は魔界に生活の根を下ろし、これを支配する。ここまではいいだろう。他愛無いゲームストーリーだ。