「ああ! 何しよんねん! ウチあんさん気に入ってんねんからぁ! 平気か? あんさん!?」
「惚けるなよ? 私はバリティエのように甘くは無いぞ?」
「ちと、ホンマに気ィ付けぇや! 殺してもうたら意味無いでぇ!」
「フォウリエンの言う通りだぜ。見た所、鳳凰の奴だろ? 舐めてっと死ぬぞ?」
どうやらバリティエ、フォウリエンといった呼び名があるようだ。あだ名といってもいいだろう。しかし、変わった呼び方だ。
「戦闘バカは黙ってな! 頭も要るんだよ」
手元に新たな光を出現させたフォウリエンはバリティエにそう言った。
「何やーアホー!」
バリティエが喚くのをフォウリエンが深刻な顔で制した。
「これは? うちの校章では無いのか?」
殆ど変形したそれは、壁にへばりついて炭となった所に覗いていた。
“どうも嫌な予感がする。これではまるで…“最上は傍に立っている男が禍禍しい気を放っているのが分かってしまった。
不意に股間に重い痛みを感じて下を向こうとした時、バリティエが左腕を喉に押し当てて、顎を吊るした。
「あんさん悪い事言わへん。ウチあんさん気に入ってんねん。せやけどなあ、仲間一人死んでんねんから、荒っぽいんは、堪忍な? ウチの仲間ハスナワー殺ったん、あんさんなん? 言わんとこれ、引きちぎって喰ろうたるで」
バリティエはどこまで本気なのかいまいち分からないが、股間の激痛は酷くなっていく。このままでは本人のつもりに関係なく、引き千切る前に握り潰されそうだ。
「いいから殺っちまえよバリティエ。そいつぁどうせ何も知らねえんだろう。俺がやってやろうか? クックック…」残忍に笑い出した男は、いよいよ暴れそうだった。
「よせ、メイジョフ。何か知っているかも知れないだろう? このまま脅せば何か吐くかも知れないんだ。バリティエに任せよう」フォウリエンが言う。
「ウチ、本当は優しいんよ。あんさんちゃうならいったい誰や? 何か知らへんか? ハスナワーっちゅうんはうちの学校の前芝康孝(まえしばやすたか)って不良(わる)の事や」
「…何も、知ら、な…い」最上は苦悶の表情でそう答えた。体中が妙に熱くなり、何かが自分の中で破裂しそうな勢いだったが、それが何か、今の最上には知る由も無かった。