四 祭りの後
「御柳、やはりこういう場合は地下なのか?」
最上は、目前にぽっかり口を開けた駐車場地下フロアへの入口を前にしていた。
「さあな、どうせ誰も管理してない廃墟だろ? 上かも知んねえぜ? 最上、何故俺に聞くんだ?」
「一対一か? タイマンってやつだな。伏兵がいたりもするのか? 御柳」
「さあな、どういった因縁かも知らないからな。最上、何故俺に聞くんだ?」
「分かった下へ行く。俺は様子を見てくる。皆はもういい。戻ってくれ」最上は御柳の質問を全て無視した。
確かに変だ。こんな所に予想通りの二人がいるのか。思えば何の根拠も無い。そうだ。誰もいなければいいのだ。そう、いない。自分はそれを確認しに行くだけだ。
何故か言い聞かせるだけ無駄な気がした。自分はどうしたと言うのだろう。だが、理屈じゃない。妙な感じだった。まるで言いようの無い直感じみた感情。最上は今それに従って行動していた。
暗い廃墟にいざ入ろうとした時、
「ちょーっと! 一人で行って何する気!?」水鏡が押し殺した声でそう言いながら、最上の袖を掴んで腰を落とした。
「バカ、放せ! 別に気取って言うわけじゃない。女は無理だろう。御柳達は彼女等を頼む」最上は真剣だった。
「おい、バカ言ってんじゃねえよ」
見ると御柳が一人先に入って行くところだった。
「行かないのか?」
どうしたんだ? というような顔で、岩見も御柳の後に続いて入って行った。
「女は無理、か…なぁんか一端(いっぱし)の男みたいな事を言っちゃって…。女だなんて言うけど一人男みたいのも、いるみたいだし?…」
霧小路が頭の後ろで腕を組んで藤堂を見下ろしていた。恐らく藤堂の少林寺拳法の事を言っているのだろう。
「ふぅ?」藤堂が霧小路を振り返る。霧小路は、何か誤魔化したように満面の笑みで返した。