堕天使の翼は闇に溶け入る -4ページ目

堕天使の翼は闇に溶け入る

暗く静かな夜のように、そっと密やかに。

親戚の姉御が言った。

あたしがあんたに生まれたかったわよ!

は?どう言う意味?
と聞き返したら、

そこそこの見た目とまあまあの頭があって
生かしきれてないのがもったいない。
自分があんただったらもっといい生き方をしたのに(;´Д⊂)

と、泣く泣く言われた。
酒の席とはいえ、そんな言われ方をするとは…微妙ww
夢が叶いそうだ。

やっと、望んでた仕事ができるかもしれない。

お庭遊びもちょっと手抜きになりそう。
その昔、長く付き合ってた彼女がいた。

とてもしっかりした女性だった。
自立心が強く、強気で姉御肌というべき性質。優しくされるよりも同等の立場でいたいというタイプ。買い物に行けば自分で荷物を持ち、電球が切れたら自分で脚立を持ち出して交換する。
俺にはなかなか甘えたり頼ったりしない。むしろ、俺の方が甘えていたかもしれない。
いや、俺が甘えてたから彼女が甘えられなかったのかもしれないが。

そんな彼女との付き合いは、実に6年近くになっていた。
結婚…は、彼女が望まなかった。俺はどちらでもいいって思ってたから、望まないならしないし、したいならするし、と思って、気がついたらお互いいい年になってたという感じだ。

あなたがいないと生きていけないような女にはなりたくない…

彼女は、よくそう言っていた。


ある日、彼女が入院した。
理由とか詳しいことは何も教えてくれなかった。

ただ、「そういうわけだから別れよう」

それだけ告げられた。

当然、そんなことを了承できるはずがない。
ちゃんと説明してくれるまで別れられない…俺がそう食い下がると、彼女はやっと語りだした。


--以前からわかってたことだった。
生きて出られる可能性は低い。
現代の医学では完治させるのが難しい。
治療にはお金がかかるし、そのために迷惑をかけたくない。
まだ人生をやり直せる年齢だから、ちゃんと元気な人と一緒になって欲しい。--


ただしっかりした女、というわけじゃなかった。
一人でいろんなことを考え、あえて深入りを避けていたのかもしれない。
どこか悟ったような態度も、強気な姿勢も、そういう諦念が根底にあったから、なのかもしれない。
しかし、そこで頼られない俺って…。

「俺、そんなに頼れないかな。一緒にいたらダメかな。」
「そんなことはないよ。でも…」
「最後まで面倒見させてくれよ。」

言葉を遮るように告げると、彼女は一瞬の沈黙のあと、苦笑いしながら頷いた。



それから、半年。
氷が溶けるように、彼女は徐々に小さくなっていった。治療の副作用で思うように食事が摂れなくなったためだろう。
弱音は一切吐かなかったが、時々ため息をつく姿が痛ましかった。
おそらく、したいことが何も出来ないストレスが、彼女の元気をさらに奪っていたのだと思う。
俺は出来るだけの楽しみをと思い、パズルやゲームを持ち込んだり、DVDを持ち込んだり、本当にささやかなことしかできなかった。

ただ、彼女はマグカップの蒐集が好きだったから、荷物になることを承知で、度々新しいものを見つけては持っていった。彼女はいつも喜んでくれた。特に気に入ったのは、普通より一回り大きなビタミンカラーのマグだった。
「好きなものがたくさん飲めるから」
子供のように言って、お茶を目一杯注いでいた。
仕事で遠くに行けば、その土地で見つけたご当地マグ、雑貨屋で面白いものがあればそれもまた笑いのネタになる。気がつけば俺もマグの蒐集が趣味になっていた。

でもある時、小さな声で彼女は言った。


「コップ、重たい…」


マグカップは確かに重たい。筋力が落ちてしまった彼女には、特にそう感じられたことだろう。
俺はハッとした。彼女はそこまで弱っていたんだ…。

翌日、メラミンのマグカップを持っていった。
彼女は一瞬、寂しそうな表情を浮かべた。が、メラミンの軽さに納得したのか、すぐにいつもの笑顔が帰ってきた。

軽いマグカップは、それから3ヶ月くらい愛用された。

コレクションされたマグカップたちは、今、彼女の実家にある。
一番大きくシンプルな、欲張りマグカップだけは、俺の家で働いている。
すっかり廃人化してる、この頃の自分。


だって外は暑いから。。

冷房の効いた部屋でカフェと庭弄りする方が
楽しいじゃないか。


ゲームからブログに来た人、ありがとう。

なにもないブログで失礼しました。



最近は小説書いてないなぁ。。