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ANZIO!


製作 : 1968
監督 : エドワード・ドミトリク
出演 :ロバート・ミッチャム、ピーター・フォーク、アーサー・ケネディ、ロバート・ライアン、アール・ホリマン、マーク・ダモン


DVD解説より】
1944122日、ノルマンディ上陸作戦の第一段階として米英連合軍はイタリアのアンツィオに上陸した、待ち受けていると思われたドイツ軍の姿はなく、上陸は成功したかに見えた。だが数日後、突如ドイツ軍による猛烈な奇襲攻撃が!767名いた襲撃部隊はほぼ壊滅、残ったのはわずか7名だった…。同行した従軍記者のエニスは偶然にもドイツ軍の秘密要塞を発見。一刻も早く状況を報告しようと、命懸けで本部に向かう-!
ロバート・ミッチャム、ピーター・フォークら往年の大スター豪華競演、名作『ケイン号の叛乱』の巨匠エドワード・ドミトリク監督の手腕が冴え渡る戦争映画の傑作!



 実際に行われた大規模な作戦を映画として描く場合は、複数の場所・人物を同時進行的に描く、いわゆる群像劇方式と、一部の人物・組織に焦点をあてて描く方式とに大別されます。
 前者の代表格は何と言っても『史上最大の作戦』です。ただ群像劇方式の場合は、どうしても焦点がぼける傾向にあるため、よほど脚本がしっかりとしていないとまとまりのない作品となってしまいます。例えば『遠すぎた橋』などは、最初は字幕版のビデオで鑑賞しましたが、内容がよくのみこめず後年にテレビ放送で見た際に、画面中のテロップ(何番目の橋かというのがテロップで入っていた・笑)によってようやく理解したくらいでした。
 後者の代表格としては『バルジ大作戦』で、へスラー大佐という傑出したキャラクターにドイツ機甲師団(私はM47でも一向に気にしませんので・笑)に焦点をあてた本作は何とも魅力的でした。少なくとも映画としては、後者の描き方の方が面白くなるのではないかと思われます。


 では今回の『アンツィオ大作戦』はといいますと、描き方としては後者に属しますが…出来としては残念ながらマカロニ・コンバットに毛が生えたレベルでした。まあ監督や出演陣を見る限りは一見アメリカ映画のように見えますが、製作はあのディノ・デ・ラウレンティスですし、スタッフの顔ぶれを見ても実質イタリア映画といっても過言ではありません。
 内容的にもイマイチで、アンツィオに上陸した後、米レンジャー部隊がドイツ軍の包囲攻撃によって全滅し、かろうじて生き残った従軍記者のエニス(ロバート・ミッチャム)ら数名の兵士が味方の前線に戻るというものですが、たかが従軍記者が歴戦の勇士張りにリーダーシップを発揮するわ、最後は銃をとってドイツ軍の狙撃兵を仕留めるはで。しかも、最後の狙撃兵と対峙する場面で、「どこへ行きやがった!」 「ここにいるぞ!」 って言葉を交わすトホホな展開が繰り広げられます。

 あと印象に残ったこととしては-
・オープニングのリズ・オルトラーニの軽妙なテーマ曲
 歌詞付きで流れますが、戦争映画で歌詞付きのテーマ曲といえば『史上最大の作戦』を除けば、あまり思い当たらないだけに妙に印象に残りました。
・火炎放射戦車
 あまり映画ではお目にかからない気がします。ドイツ軍のどの火炎放射戦車を模したのか?など野暮な詮索は致しません(笑)
・地雷原を突破する方法
 平べったい石を投げて地雷原を突破していましたが、実際の成功率はどうなのでしょう?
・ピーター・フォークの死に方
 凄い血糊でしたね(笑)


 ただ、ここでこの映画が単なるB級映画で終わっていないのは、『人間はなぜ戦争をするのかという強いメッセージが投げかけられていることです。このへんは『ケイン号の叛乱』『若き獅子たち』を撮ったエドワード・ドミトリクならではことと思います。


ロバート・ミッチャム(浦野光)
ピーター・フォーク(穂積隆信
アーサー・ケネディ(宮川洋一)
ロバート・ライアン(木村幌)
井上真樹夫、山田康雄石丸博也納谷六朗、川久保潔