皆さんは2年前の今日、2009年1月15日にアメリカで起こった奇跡をご記憶でしょうか?
① 旅客機
② ハドソン川
この2つのヒントで、もうお分かりですょネ。 それは、
〝US Airways 1549便 不時着水事故〟
同便(エアバスA320)はシャーロットに向け、乗員5名・乗客150名(うち日本人2名)を乗せて同日午後3時26分にニューヨーク・ラガーディア空港を離陸。
その直後にバードストライク (エンジンに鳥を吸い込む現象) を引き起こして左右両エンジンが停止、空港管制はテターボロ空港への着陸を指示します。
しかしエンジンの再始動が出来なかったため、機長はハドソン川への緊急着陸を決断。 衝撃を緩和するためわざわざ機体を下流方向に旋回させて着水を試み、見事ウォーター・ランディングに成功。
この場面は偶然監視カメラの映像で捉えられ、ニュース番組で何度も放映されました。
着水後の乗務員の的確な誘導により、乗客は慌てることなく機外に出て脱出シューターや主翼の上で救助を待つことに。
水温・気温とも氷点下でしたが、水上バスや観光船、また消防艇などが次々と近づき乗客らを救助・・・機体は不時着後1時間で沈没したものの、乗員・乗客全員が救助され、死亡者なしという奇跡的な結果となりました。
飛行中に両エンジンが停止するという緊急事態にも慌てず、川の流れまで計算して着水させ、なおかつ乗客が残っていないか浸水する機内を2度も見回わったという機長はこの方、
チェズレイ・サレンバーガー三世 氏
(Chesley Burnett "Sully" Sullenberger III )
エンジン停止という緊急事態にも慌てることなく、落ち着いた対応であったことが管制との交信記録からもよく分かります。
機長(トップ)の沈着冷静な態度がクルー(部下)の安心感に直結するという、見本のような事例といえましょう。
アメリカで英雄として称えられ数々の表彰を受けたサレンバーガー機長が発した事故後のコメント、
「訓練してきたことをやっただけ。 自慢も感動もない。」
いやァ、カッコ良すぎます。
その彼がしばらく静養(?)した後の同年10月1日、事故機と同じ路線で機長として復帰。
副操縦士も事故当日と同じスカイルズ氏が務めたそうで、サレンバーガー氏が機内放送で自己紹介をした時、客室内は割れんばかりの拍手と大歓声が湧き上がったとか。
・・・その時の光景が、目に浮かぶようですネ。
同氏はその後2010年3月にリタイア、30年に及ぶ現役パイロット生活に終止符を打ちました。
低価格路線の誕生など、各航空会社は生き残りをかけて熾烈な競争を繰り広げていますが、何といっても最優先すべきは安全な航行。
「空の安全に関しては、経験に代わるものはない」
英雄・サレンバーガー機長が残したこの言葉を、リストラに腐心する各航空会社トップには十分に噛みしめてもらいたいものです。