□アンノウンフィールド
Bax は戦いの最中にいた。事細かな情報をエヴァーダ軍へ届けることが先決だったのだ。
「“かくれんぼ ”とかいうゲームか?データベースで読んだことあるぜ」突撃あざけるような声がする。
空中を見上げると頭上高く浮いている足の裏が見えた。「アンドリュー…ボイド」
「お、その名前…どうやって」とBax を見据えると、今度は「ははぁん…」と唸る。
「お前の血液は濁っているようだな」すかさずBaxがボイドの心情を逆撫でる 。その一語一語には今までにないほど感情が込められていた。
「うるせぇんだよ、死に損ない」ボイドはBax の何かを知っているような口ぶりだ。
ピシューン!!ボイドの嫌味を聴き終わらぬ間にBax が垂直に飛び上がった。真上にあったボイドの両足首をガッチリ掴むと、グライドの出力をセカンドレベルへと上げた。グンクンと上昇し、空間認識が追い付かなくなるほど振り回す。ボイドの血液はやがて逆流をお越し反撃に出るまでもなく意識を失った。ここでオタツなら容赦なく息の根を止めていたところだが、すでに小夜子の精神を取り戻していたBax には、敵であろうと無抵抗な者に傷を追わせたり出来なくなっていた。
だらんと逆さ吊りになったボイドの片足首を片腕でぶら下げゆっくりと下降していく。
ガチャガチャッ……。乾いた音がした。それは四方からBax を取り囲む戦闘ロボットたちのキャノン砲。それが照準を合わせた音だ。Bax は全神経を危険回避プログラムに委ねる。AI からの指示をゲノマニューム甲軟化スーツが瞬時に受けると、最大値パワーへと防御数値も羽上がる。そして真っ赤に色を変えた。
プスーン、プスーン、プスーン!!続けざまに三発、一体のロボットがBax の足首、頭、腰部目掛けて小銃を撃ってきた。赤いスーツはセラミックスの銃弾を容易くはね除けた。
ガチャ!その音の主は、つい油断していた、真下から見上げるボイドの銃口。「無傷で捕まえるのは無理なようだな」ボイドは言い放つと同時に引き金を引いた。セラミックスの銃弾はフェイスシールドを突き破り顎から口腔内に入り込み留まった。
「ウゥゥ!」Bax は急降下して地面を転がる。銃弾から放出される特殊な電磁波が脳に影響し、不活性だった細胞を呼び起こす。眠っていた昔の傷口まで開くような激痛を味わうのだ。Bax がフェイスシールドを開放して悶え苦しんだ。
「結局、アンタはその戦闘スーツでもってるんだよ、顎もとだけは脆いんだってな?要するにたかがクローン人間なのさ」
「ウゥゥ………」Bax は生身の顔をさらけ出し天を仰いだ。“キュイィィィン”………。赤い眼光で天を仰いだままBax は思考停止した。
「知らねぇぜ、俺は壊してねぇからな…」そう言うと、人形のように寝転がるBax を爪先で小突いた。
□ATI
現状を把握する為にサイモンは、躍起になっていた。
「バックスさんのパルス信号が消えました!」予期せぬことにサイモンが慌てた。
「どこで消えた?」
「キサルから西南西、5.5キロ地点です」
「そこが例のアンノウンフィールドだろう…きっと」
「ホントに待機したまんまでいいんですか?」
「オタツさんは、どこにいる?!」
「判るわけないでしょぉ…」
「そ……だよな」
「さ、作戦通りならオタツさんとバックスさんの二人が侵入するんでよね?としたら第2ステージ開始ですかね」
《あぁ、第2ステージ開始だ!》サムが無線で叫んだ。
continued