□離発着基地 …ナスバ
「これより、アメリカエリアより、西北西4200キロ地点、アンノウンフィールドへ向かい、“オクトパス”と“スパイダー”を離陸させる」エヴァーダ軍作戦リーダー、マイルズが告げた。
「戦闘ポイントは“キサル”だと聞きましたが」ツァイが訊いた。
「あぁ、確かにキサルが本拠地だが、前衛隊からの報告ではアンノウンフィールドがキサルに繋がってることが確定した。よって、オクトパスは陸側、スパイダーはアンノウンフィールドを占拠し、キサルへの侵入ルートを確立する」
「前衛隊のリーダーって誰です?」
「…………鯛我小夜子女史さ」
「またまた冗談でしょ?」小夜子が二十年も前に戦死したことは、誰もが知っている。
「ま、おいおい判ることだ」マイルズは敢えて深く掘り下げず、意味ありげに笑った。
……………
「シュン?ダイジョウブか?」オクトパスに乗り込んだ兵士の中にアーマードスーツを装着した武光が居た。
「………ナニ?」旬が答えた。
「元気ないじゃないか…降りてもいいんだぞ?」離陸八分前のコールの後だ。
「そうじゃないよ」
「ナニが…そうじゃないんだ」
「オトウサン…僕が利用されてるんじゃないかって、想ってる?」
言葉に詰まる武光「………心配なんだ…」想わず言った。
「僕はバァバの遺伝子で産まれたんだよ?その意味…わかるでしょ?」旬は策士の表情で微笑んだ。
「あっ………あぁ、そうだったな」武光は現実を想うと、つい取り残されてる心境になった。
「この中で唯一、CSX を使える人間は僕だけだよ?」
「そうだよ…な、そうなんだけどな」
「オトウサン」
「僕はオトウサンが大好きだよ」
「ナニ言ってんだ…いきなり」
「僕はオトウサンや、オジイチャンや…皆大好きだから、皆に笑って欲しいの」旬は少しだけ大人な表情になった。
「シュンくん、ボクもついてるよ、忘れないで」最新型アーマノイドから海道自身の声がした。
アーマノイドはセットアップシートに腰掛け、無数のマイクロワイヤがエネルギーの充填を行っていた。
「痒くなったりしないのか?」
「それは、あるね(笑)」
「へぇ…あるのか」武光はただ何となく返した。
アーマノイドは研究開発段階で、足踏みしていた。開発に踏み込めなかったのは臨床実験データの不足だった。それを…海道は推しきって自らが第1号に名乗り出たのだ。
「どうだ?そこの居心地は」武光が続けた。
「あ…ん、なんか、正直まだおちつかないや」
「作戦が済んだら元に戻れるんだろ?」
「さぁ…やってみなきゃね」アーマノイドの顔面にある万能モニターに海道の可愛げある苦虫が映る。
「カイドウさん!」急に旬が呼び掛けた。
「お?ぉぉ…」意外そうな表情が映る。
「ガンバロネ、いっしょに」旬が無邪気に言った。
励ます積もりが励まされた。
「う、ウン!頑張ろ」海道はハニカミながら笑った。
□アンノウンフィールド
Bax は鬱蒼とした草木に隠れ、ブレイン処理したデータをエヴァーダの中枢サーバーへ送信し終わると、さっき空中で戦った相手のシールド越しに撮した顔を何千ものフェイスパターンで調べていた。
目まぐるしいスピードで画像は切り替わり、皮膚組織、骨格から網膜をナノ単位で分析する。
そこでX103Y 02の男が、確率98で見つかった。その男の名は「…アンドリュー.ボイド…」朴と同じロットナンバーでバイオプランターを出生した経歴がある。
continued