□トランスポーター機






手持ちぶさたからタッチパネルのアレコレを次々に押しまくるサム。小型モニターには機外の風景や、それの分析データを処理した各画像が目の前にいくつもあった。



「なぁ…カイドウ」それに飽きたサムが海道に話しかけた。



《なんだい?》



「お前もプラントで産まれたんだろ?」



《うん…そうだよ。ナンデ?》



「結局…お前ら…利用されてたってことなのか?…」



《…そんな…残酷なこと、よく訊けるね》海道は非難する気もないのに流れで言った。



「俺が残酷なのは元からだ」サムの眉毛が妙な段差をつくる。



《嘘だよ、残酷だなんて、想ってない》



「からかうな」サムが臍を曲げそうになる。



《前にパクが言ってたよ、キミのこと》



「何だ、悪口でも言ってたか」



《悪口?…まさか》



「……………何て?」



《世界中を敵にまわしても、サムだけは信じられるんだって、正直友人として嫉妬したよ》



「…アイツがか?」



《パクが信じるなら僕も信じられる、だから現在の僕を見せたんだ》



「……止めろ、男同士でキモチ悪い」



《僕は元から素直なんでね》声を聞いてるだけで、海道が笑っているのが分かる。



「……素直だから、あんな決断出来たって言いたいのか」



《そうかも知れないね。こんな僕を見たら…皆…驚くだろうな》



「あぁ…きっと驚くぜ」サムが向けた視線の先にはまだ目を閉じたままの早瀬マリと実流樹の横顔があった。


「うぅっ……うぅぅん」実流樹は一人用のブースに隔離され、自由を奪われていた。



《やっとお目覚めかい?ミルキ》ブースの中に海道の声がした。



「こ、コレは?何の意味ですかっ」



《君は今、センシラムβの減少で脳内の伝達物質が阻害を受けてる状態なんだ、感情抑制異常を起こしてる》



「いつまでこうしてなくちゃ、いけないんですか?!」



《特効薬を届けるまでは我慢して》



特効薬とは、旬の磁気誘導能力が脳に及ぼす鎮静効果のことだ。実流樹が旬から5メートル以上、4時間以上離れていると、その効果は消失してしまう。



「ダメ!シュンをココに呼ばないで」



《オネェチャン!》旬は海道のすぐ傍らに居た。



「シュン?…ココに来たらダメだよ?イイ?」



《オネェチャンはずっと僕のオネェチャンだから、ずっと僕は弟だから、何があってもダイジョウブ。迎えに行くからね》



「………シュン」



《ミル!》武光だった。



「オトウサン…」



《いいか、無茶をするな!危ない時は…》


「…ウン」


《危ない時はバァバの後ろに、隠れてろ!………いいな?》武光は出来る限りの気持ちを込めた。


「…ワカッタ」


《ミルキちゃん》


「…はい」


《キミの望みは、僕らの望みでもあるんだ、分かるかい?》


「…はい」


《ベストを尽くすから、僕にも手伝わせてくれないかい?》


「……………お願い…します」頑なな復習心はいつの間にか消え、再び訪れた睡魔に瞼を閉じる。安らかな寝顔に、ひと滴の涙が溢れた。















continued