□XR (キサル)
強硬の高い壁は、宇宙線と地球外鉱物が放つ放射能…オゾン層が剥離した部分から降り注ぐ、様々な光線とで荒れ果てた世界の現実を、キサルの日常から断絶していた。
円を描く高い壁を俯瞰するように眺めれば、そこには地上数キロに及ぶ巨大ドームの屋根が存在した。
屋根は氷のように透明で、住民はその屋根を透していつでも空を仰ぎ見、赤みがかった雲を眺めた。
ここの生活は外界と余りにかけ離れている。住民は陽の光を間接的ではあっても浴びることが出来、壁の内側なら自由に地上を歩けた。
あらゆる命の危険から逃避する為、地下に潜るしかなかった…世界各国の地下潜住民には想像も夢も追い付かない場所だった。
「ここ数日間、こちらに接近中の飛行物体があると聞いていたが、どうなってる?」WGの任を受けたハサドが言った。
「何も心配ございません、どんなテロ組織だろうとこのキサルに潜入することなど不可能、どこに隠れても侵入者を狙い撃ちしてお見せします」
「私がここへ赴任して3年数ヵ月、未侵入空域だったそこで堂々と羽根休めしてるのだぞ、何も心配しないワケにはいかない」
「こちらもただじっと見ているのでは、ありません。侵入機の分析はとうに済ませております」
「機の所有国は」
「エヴァーダです」
「それは間違いないのか」
「形態、エネルギー波…及び物体反射率から間違いありません」
「そうか、それは攻撃態勢にあるのか?」
「まずたったの一機では、お話にもなりません…何なら相手が気の済むまで砲撃してもらったとしてもキサルはびくともしません」
「……荒井屋くん、あまり悠長に構えていると、足下から狙われることになるよ」
「だ、大臣…ご冗談は無しです」一人掛けのソファに深々と掛けていた荒井屋は動揺を隠すように、何度も脚を組みかえた。
continued
強硬の高い壁は、宇宙線と地球外鉱物が放つ放射能…オゾン層が剥離した部分から降り注ぐ、様々な光線とで荒れ果てた世界の現実を、キサルの日常から断絶していた。
円を描く高い壁を俯瞰するように眺めれば、そこには地上数キロに及ぶ巨大ドームの屋根が存在した。
屋根は氷のように透明で、住民はその屋根を透していつでも空を仰ぎ見、赤みがかった雲を眺めた。
ここの生活は外界と余りにかけ離れている。住民は陽の光を間接的ではあっても浴びることが出来、壁の内側なら自由に地上を歩けた。
あらゆる命の危険から逃避する為、地下に潜るしかなかった…世界各国の地下潜住民には想像も夢も追い付かない場所だった。
「ここ数日間、こちらに接近中の飛行物体があると聞いていたが、どうなってる?」WGの任を受けたハサドが言った。
「何も心配ございません、どんなテロ組織だろうとこのキサルに潜入することなど不可能、どこに隠れても侵入者を狙い撃ちしてお見せします」
「私がここへ赴任して3年数ヵ月、未侵入空域だったそこで堂々と羽根休めしてるのだぞ、何も心配しないワケにはいかない」
「こちらもただじっと見ているのでは、ありません。侵入機の分析はとうに済ませております」
「機の所有国は」
「エヴァーダです」
「それは間違いないのか」
「形態、エネルギー波…及び物体反射率から間違いありません」
「そうか、それは攻撃態勢にあるのか?」
「まずたったの一機では、お話にもなりません…何なら相手が気の済むまで砲撃してもらったとしてもキサルはびくともしません」
「……荒井屋くん、あまり悠長に構えていると、足下から狙われることになるよ」
「だ、大臣…ご冗談は無しです」一人掛けのソファに深々と掛けていた荒井屋は動揺を隠すように、何度も脚を組みかえた。
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