トンネル事故を引き金にして敏感になった実流樹のCSX は他人の思念で入り乱れるようになっていた。それは次第に過密度を増し、不協和音と化して実流樹の脳神経を攻め立てていたが、苦痛を表にすることはなかった。





□006エリア〔cca〕


Bax と実流樹が、サムとサイモンを引き連れて来たのは006エリアの地下空間だった。



CC A はバイオプランターで生まれた推定15歳以下の子供たちを対象に作られた機関で、独自の才能と能力(キャリア)を開花させる為に開発されたエヴァーダ.カリキュラムだ。CC A はチャイルドキャリアアカデミーの略称であり、およそ850名が在籍している。




「凄い設備だな…」宇宙ステーションと見間違うくらいの見たこともない電子機器に、サイモンはあんぐりと開いた口がふさがらない。



「ここは?」興味を抱いたサムが実流樹に訊いた。



「CC A と、いいます」



ぐるっと見回したサイモンが「どういう所なの?」と言った。



「私たちが色々、調べたり、実験したり…」



「つまりは学校ってことか」



「ガッコ?」実流樹は初めて聞く単語に小首を傾げる。



「いや、それはどうでもいい、それより…俺たちを連れて来た理由を…教えてくれないか」



実流樹はサムが注ぐ疑念混じりの視線を見つめ返すと、「私…助けたい人たちがいるんです」




「助けたいヒト?」



「ここに住んでるヒトかい?」



「違います」



「あえて、俺たちが必要だということは………」日頃、他人に打ち明けなかったサムだったが、実流樹の訴えたい内容に察しがついた。



「そうです……サムさんが考えているのと同じです」



「何です?何のコトですか?」サイモンは軽い嫉妬を見せた。



「お嬢ちゃん?悪いが俺は協力することが…出来ない」



「何言ってんですか?協力してあげましょうよ」


「お前」サムはサイモンの目を凝視した。


「………サムさん、恐いです」



「自分の国を裏切る積もりか?」



「な、何言っているんですか?!そんなこと出来ないです」



「お願いします!二人の協力が、どうしても必要なんです」



「そりゃ、君たちを助けた成り行きって…何かの思し召しかも知れないが、無条件に協力するには抵抗がある」



「こうしてる内にも、命が弄ばれているんです!私は…もうその泣き叫ぶ声を、聞きたくありません…」



「それって……」



「X遺伝子保有計画…今はXR 、エックス.リボーン」Bax が喋った



皆が一斉にBax に向いた。



「あ!?誰か来る」急に実流樹が言った。


「慌てるな隠れる隙間なんて無い」


「は、はい」




コツ.コツ.コツコツ…革靴か兵士が履くブーツの踵が冷たい床を叩く。




「やっぱり…ここに?」現れたのは朴ウォンだった。



「驚かせやがって…」



「スマン、そんな積もりはなかった」朴は頭を掻いた。



「本当ですか?協力してくれるんですね?」突然、朴ウォンの思念を読み取った実流樹が喜びを露にした。



「あぁ、協力するよ」朴は真っ直ぐ実流樹たちに宣言した。



「オイ?!パクっ…どういう気だ」



「そのままの意味だ」




「…大統領に刃向かうんですか?」



「まさかっ」



「なら、どうして!」



「WG 大統領からの伝言だ!研究機関に閉じ込められている被験者、及び、被験者のクローンの救出…検体データを抹消、機関組織を破壊せよ…だ。」




朴ウォンの伝言をひと通り聞き終えたサムとサイモンは、互いを見合うと「ホントか?それ」サムの方が清々しい顔をしている。



「サムさん」


「ん?」


「アナタはずっと前から…私と同じ気持ちだったはずです」



「…………お見通しか」



「だからお前を呼んだんだ」朴が笑った。



「何だよっ全部お前の差し金か?!」



「………宿命は…同胞を呼び寄せるもの、なのです」Bax は、小夜子の記憶を辿り言葉を放った。

















continued