セミが鳴き、暑い日が射す いつもの 夏の朝のはじまりでした。



朝食をつくる私に小学生が、「おかあさん、寝ながら なんか言うてたで」 と言う。


あら、寝言言ってましたか。


「うん、すごい、う~うぅ~ て言うとったで」



そう、明け方、私はいやな夢を見ていました。


どこかの外国。

ここはどこだろうと佇む私の目の前いっぱいに、霧に濡れて輝く、エメラルドを発色する森が広がる。


その山、森の中にむかって歩き出すと、現地人が 今日は奥で神事をやっていると私に告げる。


行っていいのか、足を踏み入れていいのか悩みつつ歩をすすめていると、私の子ども(小学生)が 湖のほとりにいた。

暗い沼のような湖。


その湖面を眺める小学生。


私は、危ないからやめなさい!見なくていい! と声をかけたいのに、その声がすぐに出せない。


すると、小学生のそばにいた現地の女性が、私の子ども(小学生)に、もっと顔を近づけて見てごらん・・と声を掛けている。 湖の中がよく見えるよ、きれいに見えるよ。


やめなさい! と言いたいのに声が出ない。


数メートル背後にいる私の存在に気づかない小学生。 迷った時は、いつも母の顔を見上げるのに、

その時は振り向かない。 母がいる方に振り向かない。


迷いつつも、その現地人女性の言うがまま 湖面を覗き込む。


すると片方の運動靴が何故か脱げ落ち、「あっ!」 と その靴を拾いたいが為に 手を伸ばしてしまった小学生。


体すべて湖に吸い込まれ 溺れてしまった。


その途端、出せなかった声が出、それまで もどかしく湖面に近づけなかった私の体が一直線、岸から湖の中に飛び込んだ。


飛び込む一瞬、 溺れている子どもを抱きかかえる事ができたとしても、岸にあがるにはチカラが尽きてしまうだろう・・、真水の湖は体が沈む、きっと二人とも助からない・・・、そんな思いが頭をよぎったが、今は飛び込むしかない。


子どもを抱きかかえ、二人して沈みゆく・・と思った瞬間、体がぷかぷかと浮き出した。


そうか、ここは、塩がまじる湖なのだと気付く。 助かった。


そう思って岸を見上げると、さっきの湖面を覗けと言った現地人女性が笑ってこっちを見ている。


私は、その女性に指を差し、「許さない! 絶対 許さない! 騙したおまえを許さない!」 と 叫ぶ。


その女性は なおも薄笑みを浮かべたまま、す~っとすべるように横移動して森の奥へと消えていった。


そうか、魔女だったんだ。


岸へあがった私は、いったい ここは どこ?

どこなの? と 、あたりを見回すと、現地案内マップのような立て看板があった。


目をこらすと、政府観光案内マップ。


そして、看板の一番下に、「ボリビア」 と文字が。


ここは、ボリビア?


そう思いつつ森から抜けると、今度は、中国になっていて、日本にむかう飛行機が出ない 


と、焦っているところで目が覚めた。




きっと、私が う~うぅ~ と、寝言を言っていたのは、魔女に叫んでいる時だったのだろう。


そんな夢をみた朝のはじまり。

朝食を終えた小学生がお腹がイタイと言い出しトイレに駆け込む。


お腹がゆるんだらしく、トイレから出たあと、ガーゼケットにくるまってコロンとしだした。

やれやれ。 なら、今日は 海へはいかずとも いい日になりそう♪ と、母は心配よりも 今日一日の予定を思い ほくそ笑む。


海にいかなくて済むのなら楽チン。 快復した小学生がトランプを取り出してきたが、ず~とつきあってカードゲームをして遊んでやった。


すると、にわかに外が暗くなってきた。

空を見ると、北西から 暗く重い 悪魔のマントのような雲が ひるがえって ひるがえって、稲光を走らせながら上空をどんどん覆いつくす。


瞬く間に大粒の激しい雨。 カミナリ。 風。


今日は海へ行かなくてよかったなぁ と 思っていた。




そして、夕方のニュース。


神戸市内の川の増水で、子どもと大人が流されたとの報を聞く。


緑の六甲山から流れ落ちる川の勢い。


寸前までの、夏の暑い陽射し。


歓声をあげていたであろう子どもたちが涼んでいた水辺。


すべてが急変、一転の 悪夢。





今朝 明け方にみた夢が気になり、少し調べてみたら、 ボリビアには 世界最大の塩湖があるらしい。

そして、魔女通り なる 場所も。

緑の森も、神事も。


日本の裏側、南米 ボリビア。


地球の地核を通って、何かが伝わってきた?

知らなかった現実と、夢のキーワードの一致に、そう思えてならなかった。



今日、子どもと大人をさらった濁流。

六甲山から流れでる川は急勾配で、流れ落ちる。



もう少しの 時間 を、


岸にあがる もう少しの時間 を。



今さら どんなに思っても とり返しがつかない現実。


夏休みに消えた子ども達。