インフレの種類で対応が違うのは当然だ | -

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どうも、この自称・経済評論家は悪質さが酷くなる一方だ。
>ちなみにインフレが進むと、国民の預金は物価上昇分だけ毀損する一方、政府債務は物価が上がった分だけ軽減されていく。つまりインフレが進めば、国民が持つ預金から政府に所得が移転するので、インフレは事実上、増税として機能する。だが多くの国民はそのメカニズムに気付かないため、為政者の中には、お金をバラ撒いてインフレにしてしまった方が手っ取り早いと考える人も多い。中南米諸国は基本的にこうしたメカニズムで動いている。
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これについては、「インフレが進むと、国民の預金は物価上昇分だけ毀損する…①」は(毀損という表現の是非はともかく)ひとまず正しいと言える。

それから「一方、政府債務は物価が上がった分だけ軽減されていく…②」もまた正しい。

ところが…
何をとち狂ったのか、これらを繋げて「インフレは事実上、増税として機能する。…③」と言っているのだが、“そもそも”①②と③は全く別の次元の話であって、「事実上」もへったくれもない。

さらに彼は「だが多くの国民はそのメカニズムに気付かないため、為政者の中には、お金をバラ撒いてインフレにしてしまった方が手っ取り早いと考える人も多い。」と続けているが

先述した通り、「“そもそも”そんなメカニズムなど存在しない」のだから気づくも気づかないもないし、「デフレ下であれば」彼の言う「お金をバラ撒いて」すなわち「財政出動」以外にインフレを実現させる方法などない。



蛇足だが、デフレというのは、民間(信用創造)による需要が少ない状態なわけなので、(民間に代わって)政府が需要をケアする(財政出動)のだ。


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>日本でも、インフレを抑制するためには強力な財政出動が必要との主張をしている人がいるが、あえてウソを言っているのではなく、エルドアン氏と同様、本当にインフレ抑制に効果があると信じている可能性が高い。
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これにしても、「僕は、これまで一度たりとも、こんな主張を聞いたことがない」のだが、「彼の悪質さ」を念頭に考えてみると…
「おそらく」彼は「わざと」インフレの種類(デマンドプルとコストプッシュ)を一律にして論じていると思われる。

まぁ言ってみれば「性格の悪い、嫌味ったらしい、“いやらしい”やつ」ってところだろう。

ちなみに日本の場合(コストプッシュ型のインフレ)であれば、①まず消費税などの減税により物価を下げ、②次いで現在の需要不足の解消とインフレターゲットの実現を念頭において、年間で総額40兆円規模(真水)の定額給付金の支給が良い。
ただし、②については消費に誘導したいのであれば、有効期限付きのクーポンなども一考である。
②の良いところは、消費者側から需要を逆流させるところです。



これなら(少なくとも従来型の財政出動よりは)街のお店などにも需要が行き届きます。

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>一部の論者は、コストプッシュ・インフレとディマンドプル・インフレでは種類が異なるので、対処方法も異なると主張しているが、経済理論にそのような解釈は存在しない。

 そもそも継続的なインフレというのは複数要因が絡み合って発生するものであり、単独の要因で大規模なインフレは起こらない。加えてインフレが発生している場合、その原因がどこにあるにせよ、対処するには金利の引き上げが必須となる。

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ここまで来ると、もはや「気が●ってる」としか言いようがない。



一般の金利というのは、「民間銀行が社会(借主)からお金を引き揚げるもの」なので、急激なデマンドプル(需要過多)型のインフレであれば有効だ。

しかし、「コストプッシュ(需要を伴わない=需要過多ではない)型のインフレとなると話は別」で、「その時の国のGDPギャップ(需給ギャップ)の状態」が「利上げ(利下げ)の判断材料」なのだ。

いくらインフレであっても、国内の経済の状態が需要不足であれば、利上げをしないのは至極当然である。



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この手の記事を読んで、いつも思うのだが、「なぜ金融政策だけを論じるのか」

本来であれば、金融政策(日銀)だけでなく、財政政策(政府)も併せて論じるべきで、全く意味が分からない。

このように「金融政策だけ報じると、あたかも『日銀(だけ)が悪者』“かのような”印象を与える」ことになる。


僕に言わせれば、「日銀(黒田総裁)は、やるべきことをやっている」が、「政府が無策…どころか逆目を打っている」ことが、この状況を生んでいる。



なぜ経済評論家やメディアは、こうした「当たり前のこと」を言わないのだろうか。