彼が帰った夜

母に電話をした...


『お母ちゃん...ありがとうね

   彼...来てくれたよ』


「行ったんだね...良かった~

   行くか不安だった...

   だって帰る通り道にあるのに

   寄らないで帰るって言うからさ

   郵便物を持って行けって言ったんだ

  何を考えてるんだか...全く...」


『そうだったんだね...

   いらない郵便物ばかり...ありがとう

   彼が帰った後...笑っちゃったから...』


「笑えるなら良かった...

   外泊もお母ちゃんが行けば良かった

   って後悔してるんだ...」


『嫌だぁ~後悔なんてしないでよ

   私がいいって断ったんだから』


「本当にさぁ...何を考えてるんだか...

    お母ちゃんさ...いつ彼が来るか

    駐車場...何回も見てたんだ...

    来たら...すぐに行こうと思ったけど...

    着いて直ぐだと変だから

    朝に行ったんだよ」


『何をやってるの~大丈夫だから...

   お母ちゃん寝不足でしょうよ...

   ごめんね...見張り...ありがとうね...

   前の職場の友達たち

   お見舞いに来るって言ってるし...

   せっかく行くからって

   必要な物...買って行く言ってくれてるし

   本当は......

   外泊の時に買うつもりだったけどさ...

   だから...今は必要な物ないし

   もう少ししたら退院出来るから』


「ありがたいな...waraiの友達は

   本当にいい人達だよな...

   高速代までかけて...

  わざわざ来てくれるなんて...」


『だから...大丈夫だから

   私の心配はいいから息子くんを

   よろしくね』


「ごめんな...何もしてあげられなくて」


『十分すぎる程...してもらってるから

   ありがとうね』





母は言いたい事が

いっぱいあったみたい。

けど...入院してる私には

言えなかったって...。