去年今年こんぴらさんを通りすぎ

 

ポタージュスープやや乳臭し去年今年

 

うたもなく去年は今年となりにけり

 

ひらかれて辞書の匂ふや去年ことし

 

去年今年なににもよらず貫かず     【笑い仮面】

 

 

 たいくつな「紅白」が終わって、「ゆく年くる年」を観ながら、ぼけぼけしていたら、テレビのあるところとは反対の方角から、つつましげな鐘の音がきこえてきたら新年だ。「紅白」も、すでに《去年》のこととなっている。この諸行無常のときのながれを、ちかごろはうんとありがたく思うようになってきている。

 

 おかんが死んじゃったことも、てんかん発作を起こして立てなくなっちゃったかも?と肝を冷やしたことも、みんないっさいがっさい済んだことだ。未練はないし、未練してどうかなるものでもないという気持ちの区切りがついた格好だ。嬉しかったことも、悔しいかったこともいったんチャラにして、また一年、あらたな日々を重ねてゆくしかないらしい。適当にやっていこう。なにものかに貫かれたりしないよう、へらへらしながら生きのびていってやろう。鐘の音のなごりに耳をふるわせながら、そう思った。おしまい。

 

 

画像:後藤 まどか

 

 

 

 

 

山羊にやる通知簿一通冬うらら

 

冬日和たれかの影を踏みにじり

 

杖のひと立つ冬晴れの地球かな

 

病室にいま冬麗のあかりたる

 

冬うらら猫の尾S字となりにけり         【笑い仮面】

 

 

 「寒がりさんにルルが効く」われしらず、散歩をしながら鼻歌をうたっていて、あれ?と思ってしまった。いくらルルを飲んだって、寒いのはもうどうしようもないんじゃないのか?こういうドーデモイーヨーナコトに、敏感に気がついてしまうのは、どうやらぼくのわるい癖のひとつらしい。

 

 そんなぼくの疑念をさっしたのかどうか?さいきんは「熱・のど・鼻に……」と歌詞が変わっている。くりくりお目々の有村架純ちゃんの歌声もあったかい。そんなこんなの、冬うららな午後なのでした。

 

 

画像:今日の絵画 はてなブログ

 

 

 

 

 

燗をつけ漢うろんな顔をして

 

熱燗のだての伊万里に溢れたる

 

はんぺんに骨あるかしらぬくめ酒

 

燗酒や夢ならひとりぶんがよい

 

ばうばうと熱燗沸かすガスあをし        【笑い仮面】

 

 

 酒に酔っている顔は、みんなうろんなものだ。老いも若きも、男も女もおんなじことで、酒の入ったグラスやぐい呑みを手にしたまま、こころここにあらざるふうになってしまっている。まあ、いいじゃないか。それぞれ職場や家庭で、しんどい思いをしてきたあとの一杯だもの。いっきにあおるもよし。ちびちびやるのもまたよしだ。

 

 ぼくも、少し考え方をあらためよう。これからはちょこちょこ安い呑み屋に脚をはこんで、くだを巻くとしよう。もう若くはないから、ほろ酔いになったところでおしまいということにして、ときおりは旨い酒に頬を赤らめてみてもいいだろう。やけでいってるんじゃない。長い老後をしぶとく生き抜くための処世術をいま身につけようとしているところ。

 あれ?はんぺんに骨ってあったっけ?

 

 

画像:沢の鶴