去年今年こんぴらさんを通りすぎ
ポタージュスープやや乳臭し去年今年
うたもなく去年は今年となりにけり
ひらかれて辞書の匂ふや去年ことし
去年今年なににもよらず貫かず 【笑い仮面】
たいくつな「紅白」が終わって、「ゆく年くる年」を観ながら、ぼけぼけしていたら、テレビのあるところとは反対の方角から、つつましげな鐘の音がきこえてきたら新年だ。「紅白」も、すでに《去年》のこととなっている。この諸行無常のときのながれを、ちかごろはうんとありがたく思うようになってきている。
おかんが死んじゃったことも、てんかん発作を起こして立てなくなっちゃったかも?と肝を冷やしたことも、みんないっさいがっさい済んだことだ。未練はないし、未練してどうかなるものでもないという気持ちの区切りがついた格好だ。嬉しかったことも、悔しいかったこともいったんチャラにして、また一年、あらたな日々を重ねてゆくしかないらしい。適当にやっていこう。なにものかに貫かれたりしないよう、へらへらしながら生きのびていってやろう。鐘の音のなごりに耳をふるわせながら、そう思った。おしまい。
画像:後藤 まどか





