♪洗濯

 

月曜日に洗濯するやつは

一週間かけて干したらいい

火曜日に洗濯するやつは

まんざらばかじゃないらしい

水曜日に洗濯するやつは

そんなに文句をいわれることもないだろう

木曜日に洗濯するやつは

赤っ恥をかくため洗濯しているようなもんだ

金曜日に洗濯するっていうのは

しこたまよわってやってるんだな

土曜日に洗濯だって?

ああ、そりゃ、よっぽどの女ったらしなんだな。

 

          ★

 

They that wash on Monday

Have all the week to dry;

They that wash on Tuesday

Are not so much awry;

They that wash on Wednesday

Are not so much to blame;

They that wash on Thursday,

Wash for shame;

They that wash on Friday,

Wash in need;

And they that wash on Saturday,

Oh! they're sluts indeed.

 

          ★

 

 昔は、こうやって女性がいっきに家族の汚れものをじゃぶじゃぶ洗濯していたんだろうね。むろんドラム式洗濯機なんかありゃしないから、イラストみたいな感じでやってたんだろうな。

 ところがその洗濯にも規律というかマナーのようなものがあって、たいていのひとは月曜日か火曜日あたりにさっさとすませてしまう。(日曜日は、休息日だからね)で、日がたつにつれて口さがなくなってきて、木曜日だと《赤っ恥をかくため洗濯しているようなもんだ》になって、土曜日には《ああ、そりゃ、よっぽどの女ったらしなんだな》とまでボロカスに言われてしまう。ようするに、だらしがない、ふしだらな、みたいな蔭口をけっこう大声で言ってたんだろう。

 

 洗濯や掃除が女性の仕事として決めつけられていた時代のこととはいえ、ずいぶん理不尽じゃないか!って思う男性だっているんだよ。ぼく?ぼくは、たいてい火曜日か金曜日に、せっせと洗濯機(ドラム式ではない)まわしてますよ。

 

【笑い仮面】

 

画像:Pennsylvania Plecemaker

 

 

 

 

夕立を控へ電燈消さんとす

 

ひんがしへ流れゆくらし夕立雲

 

事務室に村雨匂ふ午後となり

 

カーテンはギンガムチェック夕立来る

 

抜歯してもなにも変はらぬ白雨かな        【笑い仮面】

 

 

 よく晴れていたのに、ごろごろというアヤシイ音を合図に、あたり一転かき曇り(浪曲みたい)、ざあっと降ってきちゃうあれ。いかにも夏らしいといえばそのとおりだけど、おろしたてのポロシャツもついでにパンツのなかまでぶしょびしょになっちゃうからたまったもんじゃない。

 

 そういえば、その昔、いきなり夕立がはじまって、「いやあね、うっとうしいな」と妹が言い、「夏だからね」とぼくが適当な相槌をうっていたときだった。「高知県上空を低気圧が……」とテレビの天気予報のおねーさんがおっしゃって、ぼくがふうんって、銀色の雫にしぶくベランダのほうに目をやっていたら、妹がゲラゲラ笑いだしたのさ。「お兄ちゃん、低気圧を見ようとしてるの?もう、これだから詩人ってやつは……」。「いやあそれほどでも……」オチのない漫才みたいになってしまったことをうっかり思いだしてしまったのさ。

 

 

画像:東京富士美術館

 

 

 

愛想なき酒屋の奥におや牡丹

 

白牡丹ついとジゼルを舞ひはじめ

 

散るまではぼうたん紅くさめやらず

 

路地裏のあかりぼんやり深見草

 

夕牡丹西日の色を寄せつけず           【笑い仮面】

 

 

 れいによって、ネットで牡丹の画像を探していて、この画を見つけた。おおかたは緋牡丹や白牡丹だったけど、そのなかで一点墨のみで描かれた牡丹の画に、ぼくの目がおや?となってしまったかっこうだった。あらゆる技巧や作為を削いでゆくとここまでになってしまうんだなあと感心しいまくってしまった。

 

 牡丹は大好きというほどでもないけれど、やっぱり気にはかかっているんだろうな。ほら、《その十三》だってさ。あのぽってりとした大輪の重厚感と、びっくりするくらい細やかな花びらの造形にうすらぽんちなぼくの脳天も惹かれてしまっていたのかもしれないな。それにありし日の女優大地喜和子のイメージが重なって、よけいにぼくは牡丹に向かわせられているのかもしれないし。

 

 

画像:朝日カルチャーセンター