2月13日手術当日

朝6時40分頃、目が覚めた。

やはり手術の日は早く目が覚める。昨夜看護師さんに言われ下剤を飲んだが、大きいのは出なかった。
朝になっても全然出てくる気配はない。















こやつ、飼い主に似て
引きこもりよるわ。




$笑いはいのちのえいよう 心臓病体験記-家康
出ないなら

音だけ出そう

ホトトギス









手術が不発に終わったら縁起悪いので、実際はそんなプースカしてません。

昨日聞いたスケジュールは、病室を出るのが朝8時半、9時から麻酔などの処置を始め、実際の手術を開始するのは10時半以降との事だった。トイレの時間はまだある。

手術後はICUに行くので、荷物は昨夜のうちにまとめた。持ち込む指定必要品(紙オムツ、コップ、箸、ボックスティッシュ等)以外はまとめて倉庫に預ける事になるようだ。


朝7時過ぎ頃、父母と弟が病室に来てくれた。

「おはよう。朝早くからありがとう」

「あんた、いよいよね。頑張ってね」

「おにい、いよいよだね」

「全く何の心配もしてないよ。長かった。やっとだ、楽しみで仕方ない」

手術が楽しみで仕方がなかった。階段登ると脈乱れるし、小便すると脈乱れるし、放っといたら基本割と早く死ぬ。全部解消される予定なのだ。しかも全身麻酔だから気づいたら終わっている。なんて恵まれてるんだろう。


「ちょっとトイレ行ってくる」

さすがにそろそろ出さないとまずいかと思い、病室の入口についているトイレに入った。
しかし全く出ない。焼け石に水かもしれないが一応ウォシュレットを当ててみる。
が、出ない。仕方がないのでトイレを出た。

うーんまずいかも。

「おはようございます。Jさん、そろそろよろしいですか」

そうこうしているうちに看護師さんが来てしまった。時間は8時20分を回ったあたりだ。

「あの、お通じが出ていないんですが」

「あー、出てませんか。まあ仕方ないですね、そういう方もたまにいらっしゃるんで大丈夫ですよ」

ふと、お尻に小さな違和感を感じた。


う、ウォシュレットの水がちょっぴり残ってしまっている感がある。よりによってこんな時に。


「Jさん、少し早いですがそろそろ行きましょうか」

「あんた、いよいよね。あたしたち荷物持つから」

わ、まずい。「ちょっとトイレいいですか?」の言葉が出ない。

「はい、わかりました」


周りに引っ張っていかれる感じだ。とりあえず廊下は寒いので爺カーディガンを羽織り、手術室まで歩いていく。水はちょっとだしな、という迷いもあり「トイレいいですか?」のたった一言が出ない。何度か言いかけるも、とうとう4階の『手術部』と書かれたドアの前まで来てしまった。


「ご家族の方はここまでです」

「じゃあ頑張るのよ」
「おにい頑張ってね」
「頑張れよ」

「うん、ありがとう」


昔ドラマで見た白いドア、医師が入室すると点灯する「手術中」の文字。

目の前にあの生と死の境界感は全くない。暖色の絨毯と左右に開く木製自動ドアはホテルに近い。


手術部のドアをくぐった。案内され椅子に座って待つ。診察台があるが、まだ横にならない。さらに奥へと続くドアも見える。

「私はここまでになります。後は手術を担当する看護師が参りますので」

「ありがとうございました」

案内してくれた看護師さんと別れた。

「Jさんおはようございます。本日担当させて頂きますので宜しくお願いします」

! 永作博美を若くしたようなキュートな看護師が奥から出てきた。

「宜しくお願いします」

あかん、こんな可愛い子に「お尻にちょっと水が」なんて言えない。

「じゃあ髪の毛が垂れてこないようにこのキャップをかぶって下さい」

ビニールキャップを渡され、かぶった。

「ここに横になるんですか?」

「ここではないです。この扉の奥になります。もう少し待ってください」


「では、Jさん時間なので奥へ行きましょうか」


さらに自動扉を通り、奥の部屋へと通される。部屋は少し寒く、小学校の体育館の壇上の間のような感じ、荘厳さがある。幅の細いベッドが1つ置かれている。
その後ろ、カバーを掛けられた大きなモノリスのようなものが、どっしりと佇んでいた。
これは、ダ・ヴィンチか…?


「おはようございます。Jさん、今日は宜しくお願いします」
「Jさん宜しくお願いします」

看護師さんが増えた。とりあえず断言しておくがみんな可愛い。

「じゃあJさん、上半身服脱いでこの上に横になって下さい」

爺カーティガンとシャツを脱ぎ、手術台と思しき台の上に横になる。お尻の水どうなるんだろう。テキパキと作業が始まった。

最後にさらに一人遅れて看護師さんがいらっしゃった。
リーダー? このリーダーもおめめパッチリだ。

「Jさん。本日手術担当します麻酔科の○○です」

「本日患者担当しますJです」


「え?」







何この人、みたいな空気になった。



思わず自分でツっこむ。

「ちょっと頭打ちましたかね」

「ちょっと頭打ったみたいですね」

良かった返してくれた。
それにしても可愛い女子数人に囲まれ、男は僕一人だ。
















「これテーブルチャージ
取られないですよね?」


「今これ俺ハーレム
じゃね!?」


「もうダ・ヴィンチでも
ガリレオでも何でも来い!」









続けて言いたい事はいっぱいあった。文字で読むと笑えないだろうが、手術台に横になりながら言ったらたぶんウケたと思う。








手術中、思い出し笑いされて手元が狂うんじゃないか。

完全に杞憂だが、アホみたいな心配をして僕は黙った。


「左腕に点滴刺しますね。ごめんなさい、ちょっとちくっとします。」
「ルート確保しました」

「ちょっと左手首麻酔しますね。少しちくっとします。痛いのはこれで最後ですからね」
麻酔の後、左手首の動脈に針を刺しているっぽい。麻酔をされても少し痛みがある。

「眠くなる薬流していきます」
「ちょっとマスク置きますね」

口と鼻に半分かかる形で酸素マスク的なものを顔に載せられた。

「これかぶらなくていいんですか?」

「まだ大丈夫です」

うーん、じゃあ何で載せとくんだろう。まだ全然眠くならないな。先生方はまだ来ないんだな。


「…Jさん、Jさん5時ですよ。終わりましたよ」

!?
















医学すごくない!?












【天声素人語 第四十六回】 和尚レットには気をつけなさい

貴様たちはいつもウォシュレットを使うでしょう。

私にはわかります。

神(紙)を頼った方がいい時もあるかもしれません。


ラッキーブッダボーイJ





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皆様、いつもありがとうございます、Jでございます。数年前に沢山買ったマスクを今も使っております。いつも思いますが新型インフルや放射能(これだけ例外ですが)、PM2.5といったワードは定期的に小出しにされ、空気清浄機、マスクを売る宣伝材料なんでしょうか。PM2.5って突然出ましたが、当然もっと前から飛んでますよね。ネチネチとした文章を花粉症で鼻水ネチネチさせながら綴りました、Jでございます。