1月29日午前4時
何とか寝坊せずに目が覚めた。こういう時は不思議とセットした目覚まし時計より少し早く目が覚める。シャワーを浴びて荷物の最終確認、忘れ物はない。ヒートテックのタイツにジーンズ、あったかインナーのVネック2枚に爺カーディガン、ジャケット、コート、マフラーを巻く。



よし、爺カーディガンとマフラーは同じ茶色で悪い方向へのお洒落シナジーも出ている。

















出ているゥ!




正直昨日金沢入りして、じゃらんで宿に泊まった方が遥かに楽だったが、お祝いも楽しかったしいい思い出だ。

途中乗り換えた越後湯沢駅では雪がとんでもないことになっていたが、遅れる事もなく午前中に金沢駅に着いた。朝食は車中でウイダーを飲み、その後は絶飲食なので、魚介を食べたかったが食べられない。荷物も多いし駅からはタクシーで金沢大学附属病院へ向かった。


金沢大学附属病院に着くと門構えのあまりの古さに焦ったが、中で途中から新しい建物に接続され、1Fロビー奥には何とコメダとタリーズが併設されていた。

新しい建物の中は真新しく、いい意味で病院感の薄い造りの一方、お洒落だろといったドヤ感はなく、素晴らしいバランスに親近感を覚えた。













茶色の爺カーディガンでドヤ顔の僕と正反対だった。







僕はうんこ色のちっぽけな老人だった。





入院受付を済ますと、手首が腫れた時から細かなやりとりでお世話になった、コーディネーターの伴さんが挨拶にいらっしゃった。今日までの一連の細かなやりとりのお礼と手術に向けてのご挨拶をした。

病棟6F心臓血管外科に案内され、ナースステーションに挨拶する。さもフツーに、川が上流から下流に流れるように可愛い子がいる。うんうん、これは治っちゃうねえ。4人の大部屋に通された。岐阜大学病院と同じで大部屋は4人部屋で利用できるスペースはかなり広い。

最初に入院した慈恵の大部屋が6人部屋だったのでその印象が強かったが、全国的な標準は4人部屋なのだろうか、これなら全然大部屋でいいと思う。ただ、慈恵の「またお伺いしますね」終わりは最先端ヒューマンインターフェースだと思う。あれを考え付くのも、徹底させるのも患者の気持ちを考え抜かないと辿り着かない。


その後、心臓血管外科の瀬口先生、田中先生がご挨拶にいらっしゃった。今後手術前後もお世話になる。お二人共チームワタナベの先生で、患者と接する際、表面上だけではない丁寧さがある。話しているだけで安心感に包まれるのだ。これは東京の三田病院の加藤先生、堀口先生もそうなのだ。本当にこんな先生方に掛かれて恵まれている。


午前中にレントゲン、採血、心電図、経胸壁心臓エコー検査をこなした。

そして午後、経食道心エコーに呼ばれた。経食道心エコーは胃カメラのように飲みこむ少々の苦痛を伴う検査である。慈恵、三田病院でやって3回目だ。


検査室のベッドに座らされ、うとうとする薬を流す為の点滴を刺された。三田病院と同じパターン、これがあればかなり楽だ。その後横にならされた。

周りを見やると、これから僕の喉にエコーの機材を入れるであろうスタッフ(恐らく医師)が男女ともかなり若いように感じられた。いや若い女性は好きだ。ただ、みな学生か、研修医の若さに見えるのだ。というかその年代の人達しかいない。

経食道心エコーは実際やられる側はちょっと怖いので、できれば慣れたベテランにやって欲しいのだ。ただ若い女性は好きだ。正直ベテランより好きだ。精密な動作を要求される検査中に胸が当たったりとか不可抗力だし全然怒る気もない。僕はそんなに人間小さくない。小一時間ほど胸が僕の腕やひょっとしたら手のひらに癒着してしまうのも、精密な検査の中ではあるかもしれない。電車通勤の僕は吊革と間違えて握ってしまうだろう。電車通勤なのだ。

不埒な考えなど毛頭ない。そこにあるのは安全第一の精神である。安全の為、終点まで吊革につかまっていたいだけである。吊革は握る為にある。

よくよく考えれば、見た目若くて凄いベテランという可能性もある。その時僕の吊革を握る握力は過去最高を記録するかもしれない。やはり吊革は握る為にあるのだ。



などと妄想する暇もなく、いつのまにか意識を失っており、気付いたら喉の奥にチューブが入っていて、おええーとなった。もう一回おええーとなったあたりで、「もう終わりますからね」と声を掛けられ、管を喉から抜かれた。苦痛は2回程だった。胸が当たる事も粘膜が傷つく事もなく検査は終わった。

病室に戻って眠気が抜けないながら看護師さんと話をした。「とにかく眠くて仕方ないんですけど」と言うと、「かなり鎮痛剤使ったって聞いています。相当眠いと思います」と言われた。その後田中先生もお疲れ様でした、とご挨拶にいらして下さった。


「明日の貯血って麻酔して頂けるんでしょうか。かなり痛いって聞いてて」と田中先生に質問した。岐大病院で針が太くて痛いと看護師に言われ、ビビっていたのである。

しかし田中先生は「麻酔すると余計な成分が入っちゃうからしません。貯血針が太いのは、あまり細い針でやると赤血球が壊れちゃって、溶血しちゃうからなんです。ただそこまで痛くないですよ、安心して下さい」と説明して下さった。うーん、なるほど。











安心はできんが、分かっている。

痛かろうが痛くなかろうが、やるのだ。

結果的に内容を問わない話を振っているだけなのだ。












ようは話し相手に飢えた

さみしい老人なのぢゃ。







【天声素人語 第四十一回】 般若しを振りなさい

貴様たちはいつも黙るでしょう。

そうではなくとりあえず話を振りなさい。

白衣の観音菩薩たちも不動明王も、般若のような厳しい顔をする事無く耳を傾けるでしょう。

万が一無視されたらそのまま独り言に切り替えましょう。


ラッキーブッダボーイJ



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皆様、コロンバンのワッフルを食べました、Jでございます。甘い、僕の人生観のように甘いお菓子でございます。たっぷり10個ほど買いました所、家族から「何だコロンバンじゃん」「あんたまた懐かしいお菓子買うわねえ」などと、ややからかわれ気味に言われまして、7個ほど残った翌日に冷蔵庫を開けたら綺麗になくなっておりました。大人はというか僕の家族の言動は、僕同様に信用できません、Jでございます。