SA
【設定】
後から読み直してみると、清が易姓革命によって新王朝に変わる頃のお話という気がする。もちろん民国ではない何かに。
【百合SA】
彼の名は...仮にCCCとしておこう。
度重なる農民反乱の中ですべてを失ったCCCは、まだしも食糧がありそうなある反乱軍に身を投じ、気付くと彼は首都にいた。それなりの地位を手にしたり、褒賞を手に故郷に凱旋する仲間たちを尻目に、CCCはある決意をする。自分はここに残って——宦官になろう。既に一族郎党も無く、先祖は辱められ、今や孝も成らないならば、権勢と栄達を手にしよう、と。
強く縛られ、ひやりとした感触が伝わる。激痛。後は幸運を祈るばかり...
元号が改められ、街から熱気もすっかり引いた晴れた日。彼はCCCPとなった。
宮廷では、新たな反乱軍、そして、根絶やしにしたはずの前皇帝の嫡子が擁立されたことが、まことしやかに囁かれていた。
そんな中、CCCPはある作業を任せられる。ますます疑り深くなり旧友の首と胴を次々と切り離している皇帝陛下が、未だ農民のリーダーに過ぎなかった頃、その頃から付き従い、その後も宦官となったCCCPにしか任せられない作業。
かつての妃、女官あるいはその一族の誰が先帝の嫡子を匿ったのか。そもそも、その嫡子とは誰なのか。それを取り調べる役務である。奴程度の知恵では小細工も出来ないだろうという配慮でもあった。
CCCPが門をくぐると、すえた臭いが鼻を突いた。斯様に不吉な場所が存在していたとは。
案内によると第765宮と称されるそこには、正式な名すらつけられはしなかったようだ。
入るとすぐに大きな穴が目についた。特徴的なリボンをつけた1人の少女が穴に向いて立ち、盆の窪を撃たれ、そのまま衝撃で穴に落ちて行った。
気がつくとCCCPはその穴を覗き込んでいた。先に落ちていた長髪の少女と重なり合うようにリボンの少女は倒れ、心無しか表情は穏やかに見えた。
ふと、耳障りな金属音に気付く。
俄には理解し難かったが、少女たちが裸に横たえて並べられ、その上を女が自転車で踏みつぶすように乗り回していた。
CCCPは悪趣味な光景をやめさせようと足を向けるが、すぐに案内に止められた。あれは皇后であると。続けざまに案内は、あの劇団員崩れがと口走り、すぐに口を塞ぎ、曖昧な笑顔をCCCPに向けた。
劇団員か劇団の事務員だか知らないが、皇帝陛下は妻にあのような真似をさせる人間ではない。こうも広い宮廷に住んでいればお互いの行動などわからないだろう、と心を落ち着け、改めて足を向けた。
皇后は傲上に一瞥し、CCCPだとわかると表情を和らげた。CCCPにも同じことをするよう勧めるが、丁重に断り、特に凍えている少女を医務室に連れていくよう案内に指示を出す。皇后は不満そうな顔をするが、旧知であるCCCPを邪険にするでもなく、興が醒めたと帰って行った。
髪を高く2つに留めたその少女は、既に足の親指が壊死していた。ピンセットがゆっくりと指を足から引き抜く。その様子を無表情に眺める少女を見て、CCCPは気付いた。ここでは、無感情だけが装甲なのだと。そして、既に慣らされつつある自分に。
(現世に続く)
後から読み直してみると、清が易姓革命によって新王朝に変わる頃のお話という気がする。もちろん民国ではない何かに。
【百合SA】
彼の名は...仮にCCCとしておこう。
度重なる農民反乱の中ですべてを失ったCCCは、まだしも食糧がありそうなある反乱軍に身を投じ、気付くと彼は首都にいた。それなりの地位を手にしたり、褒賞を手に故郷に凱旋する仲間たちを尻目に、CCCはある決意をする。自分はここに残って——宦官になろう。既に一族郎党も無く、先祖は辱められ、今や孝も成らないならば、権勢と栄達を手にしよう、と。
強く縛られ、ひやりとした感触が伝わる。激痛。後は幸運を祈るばかり...
元号が改められ、街から熱気もすっかり引いた晴れた日。彼はCCCPとなった。
宮廷では、新たな反乱軍、そして、根絶やしにしたはずの前皇帝の嫡子が擁立されたことが、まことしやかに囁かれていた。
そんな中、CCCPはある作業を任せられる。ますます疑り深くなり旧友の首と胴を次々と切り離している皇帝陛下が、未だ農民のリーダーに過ぎなかった頃、その頃から付き従い、その後も宦官となったCCCPにしか任せられない作業。
かつての妃、女官あるいはその一族の誰が先帝の嫡子を匿ったのか。そもそも、その嫡子とは誰なのか。それを取り調べる役務である。奴程度の知恵では小細工も出来ないだろうという配慮でもあった。
CCCPが門をくぐると、すえた臭いが鼻を突いた。斯様に不吉な場所が存在していたとは。
案内によると第765宮と称されるそこには、正式な名すらつけられはしなかったようだ。
入るとすぐに大きな穴が目についた。特徴的なリボンをつけた1人の少女が穴に向いて立ち、盆の窪を撃たれ、そのまま衝撃で穴に落ちて行った。
気がつくとCCCPはその穴を覗き込んでいた。先に落ちていた長髪の少女と重なり合うようにリボンの少女は倒れ、心無しか表情は穏やかに見えた。
ふと、耳障りな金属音に気付く。
俄には理解し難かったが、少女たちが裸に横たえて並べられ、その上を女が自転車で踏みつぶすように乗り回していた。
CCCPは悪趣味な光景をやめさせようと足を向けるが、すぐに案内に止められた。あれは皇后であると。続けざまに案内は、あの劇団員崩れがと口走り、すぐに口を塞ぎ、曖昧な笑顔をCCCPに向けた。
劇団員か劇団の事務員だか知らないが、皇帝陛下は妻にあのような真似をさせる人間ではない。こうも広い宮廷に住んでいればお互いの行動などわからないだろう、と心を落ち着け、改めて足を向けた。
皇后は傲上に一瞥し、CCCPだとわかると表情を和らげた。CCCPにも同じことをするよう勧めるが、丁重に断り、特に凍えている少女を医務室に連れていくよう案内に指示を出す。皇后は不満そうな顔をするが、旧知であるCCCPを邪険にするでもなく、興が醒めたと帰って行った。
髪を高く2つに留めたその少女は、既に足の親指が壊死していた。ピンセットがゆっくりと指を足から引き抜く。その様子を無表情に眺める少女を見て、CCCPは気付いた。ここでは、無感情だけが装甲なのだと。そして、既に慣らされつつある自分に。
(現世に続く)
