よし、成功だ | Study Hard

よし、成功だ

 最近堕落が著しかったので今日は気を引き締めていった。もう恢復の兆しが出ている。

 ほら、もうアイマスが南方にしか見えなくなった。「日本軍はどこに女を隠していたんだ」と驚く英国兵が目蓋に浮かぶ。

 現地民に「マスタ」と呼ばれ嬉しそうにする奴らに悪気は無いのだ。明号作戦のときにどこに居たかなどとは言うまい。今はそういう時期なのだと自分に言い聞かせている。最近兵たちから飯に砂が混じっているという苦情が出ているので、今日はそれを言いに行かねばならない。
 外に出ると、また盗みの上手い奴が我らの「アイドル」のために生地を盗みに出かけている様子が見えた。裁縫が滅法うまいのがいて、それが色々な衣装を作っているのだ。しばしば舞台が開かれ、その度にどこからこんなものを拾ってきたのかというくらい趣向を凝らした出来になっている。舞台を見に所長の現地妻らしき女も来るのだが、これが手鼻をかむという癖があって、美人なのだがどうにも幻滅だ。アイドルの方が人気なのも頷ける。
 さて飯の問題だが、イギリス人はあろうことか「豚の飼料にして問題が起きていない」と言い放った。イギリス人にはことあるごとにうんざりさせられる。トボトボと兵舎に帰る途中、所長が補給品の倉庫に入って行くのを見かけた。一体何をしていたのだろうかと思うとともに、浪費癖のあるらしい所長の妻の下品な顔を思い出してまたもうんざりした。次の舞台だけが楽しみだ。

 参考文献:
 アーロン収容所 会田雄次著
 戦史叢書「シッタン・明号作戦 ビルマ戦線の崩壊と泰・仏印の防衛」 防衛庁防衛研修所戦史室編纂