瀬戸内海に浮かぶ小さなスクリューの形をした島・粟島にある
「漂流郵便局」がメディアで静かな話題となっている。
「漂流郵便局」がメディアで静かな話題となっている。
届けたくても届けることができない葉書、
届け先の分からない葉書を受け付ける郵便局。
届け先の分からない葉書を受け付ける郵便局。
瀬戸内国際芸術祭の作品として、香川県三豊市にある旧粟島郵便局を
アーティストの久保田沙耶氏が「漂流郵便局」として生まれ変わらせたのがきっかけ。
アーティストの久保田沙耶氏が「漂流郵便局」として生まれ変わらせたのがきっかけ。
「漂流郵便局留め」という形で、全国からたくさんの葉書が寄せられている。
そのハガキが、使われなくなった郵便局で展示されているのだ。
局員は、元粟島郵便局長の中田勝久氏と著者の久保田氏のお二人。
郵便局を訪れれば、行き先のない葉書を見ることができる。
また、自分宛の手紙を見つけたら持ちかえることもできるシステムも何とも甘酸っぱい。
本書は、漂流郵便局にまつわるいくつかの物語と、
そこに寄せられた葉書の中から69通が紹介されている。
今回は、その中からいくつか印象に残った葉書をご紹介したい。
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■これからふたりが過ごす時間へ
僕たちの時間へ。
どうか1分でも、1秒でも長く続いて下さい。
離れて過ごす時間はどうか1分でも、1秒でも短く過ぎ去って下さい。
時計が教える時間の長さより、少しでも長い時間を僕たちの夜に下さい。
すべてわかり合える1分をいつか僕たちに下さい。
■息子様
ちゃんとごはん食べよる?
ゲームばっかりしとらんと、ちょっとは電話してきてよ。
電話はせんでもメールでもええから。
LINEの「既読」だけが生存確認の証しやなんて。
はぁ。
育て方まちがえたんかな~。
■あの日のお姉ちゃんへ
私の人生でお姉ちゃん以上に私を笑わせてくれた人はいません。
今は何だか昔のように話はできないけれど。
これから生きる私を支えるのはあの日のお姉ちゃんです。
ありがとう。
■亡くなったお母さんへ
いまだったら言える
たくさんのありがとう
■100年後に私と同じ本を借りる人へ
2114年でもこの街に図書館はありますか?
貸出カードに書いてある私の名前を見てどんな人か想像できますか?
私が一番好きな本はミヒャエル・エンデの「モモ」です。
私は貸出カードの知らない人の名前を読んで想像するのが好きです。(中略)
だから百年後にこの本を私と同ように借りている私の名前を見て、
いろんな想像をするあなたに手紙を書いてみたいと思いました。
いろんな想像をするあなたに手紙を書いてみたいと思いました。
未来はどんどん便利になっていくでしょう?
でも図書館の中にはずっと本が並んでいて欲しいです。(中略)
100年後のあなたに。
同じ本が好きだから、きっと私たち友達になれるかもしれないね。
■お母ちゃんへ
35年ほど前、お母ちゃんにもらった小遣いの中に
古い100円札が入っていました。
古い100円札が入っていました。
私も家計が苦しかったのですが、この100円札は使いませんでした。
古くてまるで血のにじんだような、お金はもったいなくて
使うことが出来ずにいまだに持っています。
使うことが出来ずにいまだに持っています。
働いて、々々家族の為に頑張ってくれたお母ちゃん。
本当にありがとう。
これは私のお守りとしてこれからも大切においておきます。
■浩太君へ
浩太君 良い知らせを聞かせましょう。
漂流郵便局さんのおかげで君に葉書を書くことが出来るようになりました。
今までお父さんは君に何度も語りかけてきました。
声は届いていましたか。
きっと届いていなかったと思います。
君がどこにいるのかわからなかったから。
君がどこにいるのかわからなかったから。
これでようやく君に思いを届けることができます。
君と別れてから19年がたちました。
生きていてくれたら君は30歳になっているんだよ。
君はどんな人になっていることでしょう。
お父さんには想像もできません。
お父さんには想像もできません。
お父さんは11歳の君の姿しかしらないんだから。
一枚の葉書って本当に少ししか思いを書くことができません。
でも君に葉書が届くようになったので、これからは何度でも思いを送ります。
今日はこのへんでね。またお便りします。おやすみなさい。
■上記の方の別の日の葉書
君の最後の言葉は「お母さん」。
お父さんでなかったのが少し残念。
君はお母さんが大好きで、とても頼りにしていた。
だからお年玉を貯めて、お母さんにエメラルドの指輪をプレゼントしたよね。
近頃、お母さん、君の指輪をしていない。
聞いたら、太って指が入らなくなったって。
でも時々指輪をそっと見ているそうです。
やさしい浩太君。ありがとうね。
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他にもたくさんの素敵な葉書が紹介されている。
現物が掲載されているので、こう活字で見せるよりも
ずっと書いた方の思いが伝わるだろう。
ずっと書いた方の思いが伝わるだろう。
最後に紹介した方の後日談も本書に掲載されているが、
息子さんを亡くした悲しみを時と共に忘れていく恐怖と闘う中で、
漂流郵便局を知り、出せなかった手紙を書くことで、
心の整理がつくようになったそうだ。
息子さんを亡くした悲しみを時と共に忘れていく恐怖と闘う中で、
漂流郵便局を知り、出せなかった手紙を書くことで、
心の整理がつくようになったそうだ。
思いを文字にしたためる。

