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「編集者がシェアしたい本」 3分で一冊読んだ気になる読書ブログ

出版社で書籍の編集者をやっています。
読んだ本からシェアしたい名言・格言をご紹介させて頂きます。


「心の中の幸福のバケツ」「ストレングスファインダー2.0」等の
ベストセラーで知られる著者の最新刊。
著者が16歳の時に遺伝性疾患の難病で左目を失明し、
その影響で癌抑制遺伝子が機能しない為、生涯
、癌に侵されるリスクを抱えることになります。

彼は落ち込むことなく、身体中の腫瘍を常にチェックし、
腫瘍を大きくしない為に健康を維持・増進しようとして、
諸文献を読み、自らの生活で実践した
健康でいるための方法がたっぷり書かれています。

ですので、説得力がハンパじゃありません。

原題は「EAT MOVE SLEEP」。

食・運動・就寝のすべてが重要であり、
「これ一つだけやれば十分」のような一点集中の提案ではなく、
「小さなさまざまな習慣を積み重ねる」方法を提示しています。

著者はこの本の執筆のために会社を退職してまで書かれたそうで、その熱意がページの端々から伝わってきます。

特に気になったポイントをご紹介します。

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運動するだけでは十分ではない。健康維持の秘訣は一日中ずっと活動的でいること。

1時間睡眠を削ると、幸福度、生産性、健康、思考能力の低下を招く

長時間仕事に取り組むと逆にパフォーマンスの低下を招く。集中は短時間にとどめて定期的に休息する

1時間分の活力を手に入れたいなら、1時間余計に眠ること

何かを食べるとき、原材料の表示を見た上で、正味でプラスになるか考える。これを習慣にすれば、その時その時に間違いない選択ができるはず

座るのは喫煙より身体に悪い。2時間座ると善玉コレステロールが20%減る

90分間の睡眠不足は昼間の注意不足を3分の1近く削ぐ

5対1(炭水化物がタンパク質の5倍を超える比率の食べ物は避ける

糖類を「がん細胞増殖キャンディー」と表現する研究報告書もある

果物や野菜をそのまま食べるだけで必要十分な糖類を摂取できる

精製炭水化物の代わりに野菜を選ぶように最大限努力する

空腹時は身体が高カロリー食品の摂取に集中している。血糖値を正常に戻そうとするため

■早食いで肥満リスクは2倍。ゆっくり食べる方法
1)一口食べるごとに食べ物を皿に戻す
2)一口食べるごとに腕を下げる
3)一口食べるごとに箸を置く

■運動するなら朝、空腹時に
・多くの脂肪を燃焼し、血糖値を正常に保つ「耐糖能」を強化できる
・その日に必要な活力を余分に得られる
・20分運動すると、以後12時間にわたって気分をよくできるという研究結果も

■大勢で食事をすると必要以上に食べすぎる
・2人なら35%増、5人以上は75%、7人以上は96%
・友人と一緒にいると、自分で思う以上に社会的影響を受ける

■オメガ3が不足すると脳のサイズが小さくなる
・オメガ3摂取に適した食べ物は魚、ナッツ、シーズ。中でもサーモン、クルミ、亜麻仁が理想的。

少なくとも1日に何度か立ち上がり、職場周辺を歩き回る。座り続けると様々な弊害があるので、日々ルーティンに運動を組み込む

オフィス机での食事は危険。忙しい日にはむしろ昼食時にきちんと休憩し、気分転換すべき

4時間の睡眠不足はビール6本の摂取に相当する影響を身体に与える

肉とジャガイモは甘いお菓子とデザート以上の組み合わせ

読みながら何度も込み上げてくるものがありました。
タイトルが示すように、桁違いの借金を背負ってしまった
経営者の壮絶な16年の物語です。

これが現実かと思うと、何度も背筋に冷たいものが走りました。

キリンビールのエリートサラリーマンだった著者が、
お父上が亡くなって家業の居酒屋チェーン決算書を見て
40億円の借金があることを知るところから本書は始まります。

もちろん、普通であれば会社を継がず、清算すればよいと
考えるところですが、当時は民事再生法の施行前。
相談する人もなく、なりゆきで二代目に収まってしまったのです。

この手の話は、頑張って努力して周りの協力があって
奇跡が起こって完済……という筋書きが想像されますが、
著者の場合は、そんなふうにはいきません。

・メガバンクに土下座させられる
・従業員に謝罪を要求される
・天気予報が雨だと気が狂いそうになる
・モラルのない従業員たちと続く闘い
・国税局で難しい支払いスケジュールを
 約束させられた帰りに地下鉄に飛び込みそうになる
・売り上げが延びてきたら食中毒
・売り上げ有力店が火災
・従業員とのパイプ役だった板前の死

決してきれいごとではなく、「金を返したいから従業員の機嫌を取る」
とか「大変な状況ながらどこかでどうにかなると思って本腰が入ってなかった」
など、どこまでも正直に書かれています。
著者が決してスーパーマンではないので、余計にタイトルが胸に沁みるのです。

特に気になった言葉、ポイントをご紹介します。

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「朝の来ない夜はない」
「Never Never Never Give Up」

金融機関からは「完済までには80年かかる」と言われる

1カ月に支払う元本と金利の合計額は、2行合わせて3163万円

「お父上の死は、ビジネス上の戦死と思いなさい」

交渉の末、メガバンクの元本支払いを月に100万円下げてくれることになった。
その際、支店の次長が応接テーブルの向こうからこういったのだ。
「湯澤さん、もう一度、ここで手をついて『お願いします』と支店長に頭を下げてもらえますか?」

「社長! この前、社長に言われたことがどうしても納得できなくて忘れられないので、今すぐ店に来て謝ってください」
ある夜、突然社員からこんなふうに呼び出されて、「俺が悪かった」と謝ったこともある。
辞められたらおしまいだ。どんなに理不尽でも、1人の社員も辞めさせるわけにはいかない。
辞められたら店が開けられなくなる。店が開けられないと、返済が滞る。

(キリンビール時代の同僚たちとの飲みの席で)
こうして酒を飲んでいる2時間あまりの間にも、私の会社には3万円以上の金利が発生し、元本と合わせると8万円以上の支払いが必要になっている。
眩しく見える同僚を前にするのも辛かったが、またすえた臭いのこもる日の当たらない事務所に戻らなければならない……これが俺の現実だ

■なぜ、会社をすぐに清算しなかったのか?
・1999年当時、気軽に倒産できる風潮ではなかった
・民事再生法施行も2000年。自己破産しない限り、事業の整理は無理という世界
・今なら、知恵もあるし法律もあるので会社を整理し、金融機関に強気に交渉も出来た
・でも当時は「自分が全部返していくしかない。とにかく自分がやらなきゃいけない」と思い込んでしまった
・悪いことに相談できる人もいなかった
・今でもよく考えるのだ。あの巻き込まれていく感じは何なのだろう。あの時点で私はどうすればよかったのか。どうすれば借金を承継しないで済んだのだろうか。

■キリンビールで辞意を伝えると…
・「大丈夫、大丈夫。引き継ぎも大して要らないよ」と言われた
・私がやっていた仕事は他の社員が引き継ぎ、何事もなかったかのように回り始めた
・あの突きつけられた現実、「代わりはいくらでもいる」という現実はショックだった

■キリンビール時代
・キリンビールに決めたのは、「俺は父の紹介先よりも大手の会社に自分の力で入った」と言いたかったからだった
・常に一般化することを考えた。帰納法的にいろんな事象から教訓を抽出するのだ。一般化しないとノウハウを他人と共有できない
・自分の成功体験のひとうひとつを誰にでも再現可能な形に整理し、「セールスの達人になる50の事例」というマニュアルにまとめた
・会社から表彰され、冊子は全国の支店に配付された

■借金、税金、公共料金の返済に際して
・できない約束をしなくてはならないことが辛かった。「これしか払えない」と正直に言うと納得してくれないのだ。だからできない約束をしてまた謝ることになる
・数値分析や事業計画書の作成に関しては、キリンビール時代の経験が本当に役立った。銀行の支店長からは「こんなことをやってくる人は初めて」と言われた
・その計画は絵に描いた餅にならぬよう、合理的かつ実現可能な計画であることを心がけた
・計画の未達は評価を下げる。計画は達成できる範囲の目標設定にとどめ、地に足の着いたものにした

■天気予報に怯える
・週末に天気が悪くなると目に見えて客足が減り、数百万円単位で入金が変わってくる
・それは月曜に払うお金がなくなることを意味する
・週末に雨が降るとなれば気がおかしくなりそうだった
・テレビで「金土は強い雨になりそうです」などと話していると気分が落ち込んで画面をまともにみられなくなった
・サッカー日本代表戦など国民的スポーツイベントも鬼門。皆、帰宅して観戦するので売上は壊滅的になることもあった
・私は次のステージに進まないように「お願いだから負けてくれ」と祈りすらした

■モラルのない従業員
・煙草を吸いながら厨房に立っている
・誰も店におらず注文の度に2階から板前が下りてきて料理を作る。2階へ行くと板前たちが麻雀をしていた
・注意すると、「今日で上がらせてもらいます」と辞めることをちらつかせる
・書き入れ時の週末に、突然、誰も出勤しない店がことがあった。リーダー格の板前を注意した腹いせだ。

身体がホームに入ってきた電車に向かってふいに傾いたかと思うと、私は知らぬ間に線路に飛び込みそうになっていた

嘘だと思われるかもしれないが、私は今でもホームの列の一番前には立たない

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こういったトラブル、理不尽なことの繰り返しで
本書の前半は絶望的な気持ちになります。

どのように立ち直り、40億円の借金を返済していったのかは、
ネタばれになってしまうので是非お読み頂ければと思います。

著者は、自分の頑張りをひけらかすためではなく、
もう頑張れないと絶望するときにも、
「いや、まだまだ頑張れるんだ」という勇気と希望が
あると伝えるために書かれたのでしょう。

人生を諦めそうな人への応援歌であり、
生きていれば何とかなるという祈りと感じました。




ある日突然40億円の借金を背負う。
それでも人生はなんとかなる。
後輩にプレゼントしてとても喜ばれた絵本です。

後輩は6歳の女の子がいるのですが、
どうしても娘さんに厳しく接してしまうと悩んでいました。

実際、端からみていても厳しく叱る様子が痛ましく、
その場にいるのが辛くなるほどです。

本人も何とかしたいと思っていて「良い本ないですか?」と言われたこともあり、
何冊かの子育て本やアンガーマネジメントン本と一緒にプレゼントしたのが本書です。

内容は、4歳の男の子・かんたろうのママが交通事故で命を落とし、
おばけになって息子の前に現れるというお話し。
こう書くと悲しい物語のようですが、のぶみさん独特の温かく
ユーモアたっぷりの表現でクスッと笑えます。

後輩の琴線に触れたのが、ママがかんたろうのことがどれだけ好きかを、
一生懸命伝えるところです。

「私は厳しくするのが親の務めだと思っていたんです。実際、
私も厳しく育てられてきたし。それに子育てが辛かったり、
娘が邪魔に感じることもありました。
でもこの絵本を読んで、いかに自分が娘が好きかがわかったんです。
誰だっていつ事故や病気になるかわかりませんから、
後悔しないうちに気づいてよかったです」
と晴れやかな笑顔で話してくれました。

本書をプレゼントしてから約1カ月の先日、
後輩の娘さんの誕生日パーティーにお邪魔しました。

後輩は以前の姿が嘘のように、何度も娘さんを抱きしめたり、
褒めたり。娘さんも以前はママに遠慮していたのに、
思いっきり甘えていて、それはそれは仲むつまじいものでした。

端からみていても、とっても幸せな気持ちになれました。

「この絵本に出会ったおかげで、大事なことに気づけました。
本当にありがとうございます」

後輩の言葉に、「こちらこそ。幸せのおすそわけをありがとう」と言いました。

3分で読める絵本でも、人を変える力がある。

本の持つ底力を教えられた気がしました。