“イエスは茨の冠をかぶり、紫の服を着けて出て来られた。ピラトは「見よ、この男だ」と言った。”

ヨハネによる福音書 19:5(9784820212058)

“ーー私という人間をこれでお分かり頂けたであろうか?ーー十字架にかけられた者 対ディオニュソス”

この人を見よ ニーチェ/西尾幹二訳 193P(9784102035078)

“16見よ、わたしは職人を創造した。彼は炭火をおこし、仕事のために道具を作る。わたしは破壊する者も創造してそれを破壊させる”

Isa 54:16(9784820212058)

 心理学の基礎を築いた偉大なる魂(バーゼル大学の系譜)。私は彼が発狂者だとして扱われているということを遺憾に思う。彼らの前では剣を納めよと命じた僧侶にしてもこの偉大なる魂を「誠実においては彼の右に出る者はいない」と感嘆させた程である。

“「お父さん、お父さん」と少年は父に向かって叫んだ。「お父さん、あの人たちはひどいことをしているよ。可哀そうな馬を打ってるよ」
「行こう、さあ行こう」と父が言った。「酔っぱらいたちがふざけているのさ、馬鹿な奴らが。さあ行こう、見るのはおよし」そして息子を連れ去ろうとしたが、少年は父の手を振りほどき、われを忘れて馬の方へ駈け出した。が、可哀そうな馬はもうへばっていた。ぜいぜいあえいで立ち止まり、ふたたび引こうとして、あやうく倒れそうになった。

「くたばるまで、ひっぱたけ」とミコールカが叫んだ。
「もうひと息だ。これでもか」
「おめえ、十字架がこわかねえのかよ、ええ、化物め」
群衆のなかから、ひとりの老人が叫んだ。
「こんなやせ馬にこんな荷物を引かせるなんて、見たこともねえや」ともうひとりが口を添えた。
「死なせちまうぞ」と別の男が叫んだ。
「よけいな世話だ。おれのもんだ。おれのしたいようにしてるんだ。さあもっと乗れ。みんな乗れ。どうでもぶっ飛ばして見せるぞ!」

 突然どっと笑い声が起こって、何もかもをおおい隠した。婆ァ馬がひっきりなしの打撃にたまりかねて、弱々しく後脚で蹴りはじめたのだ。さっきの老人までが、こらえきれずににやりと笑った。こんな痩せた老いぼれ馬が、これでもまだ蹴ろうとは!

 群衆のうちから若者がさらにふたり、横あいから馬をひっぱたこうと鞭を取って来て、それぞれの両側から駆け寄った。
「鼻面をひっぱたけ、目をぴしりとな、目を」とミコールカが叫んだ。
「歌をやろうや、皆の衆!」荷馬車の上でだれかがこう叫んだ。乗っていた連中がいっせいに歌いだした。げびた歌声がひびき渡り、手太鼓がじゃらじゃらと鳴って、口笛の合いの手がはいった。例の百姓女は、胡桃をかみ割りながら、くっくっと笑っていた。

・・・・・・少年は馬の横を走って、頭の方へ出た。彼は馬が目をほんとうに目を鞭で打たれているのを見た。少年は泣き出した。心臓が締めつけられて、涙が流れ落ちた。ひとりの振った鞭が彼の顔をかすめたが、まるで感じがなかった。彼は手をもみしだいて泣き叫び、頭を横に振っているひげの白い白髪の老人にすがりついた。”

世界の文学16 ドストエフスキー 罪と罰 62~63P


2020-02-23【訂正】


 「日本では」という箇所と「言いせしめた」という表現が誤解を与える為に「感嘆」に訂正した。


<職人との対話>


人間は行動を約束することはできても、感情は約束できない。自己欺瞞なしで永遠の愛を誓うものは、愛情の見せかけを永遠に約束するものだ。ーNietzsche

自分の感情を愛していることを錯覚しようとする内在的な働きは自己欺瞞という形式をとる。然るにこの錯覚は人を結びつけているーAnsur_wednes

人は自分の美徳故に罰せられることがもっとも多い物だ。ーNietzsche

自己欺瞞の為に人は繋がりを求め、自己欺瞞の為に孤独に苦しむ。ーAnsur_wednes

“45それゆえ、わたしは快楽をたたえる。太陽の下、人間にとって飲み食いし、楽しむ以上の幸福はない。それは太陽の下、神が彼に与える人生の日々の労苦に添えられたものなのだ。”

コヘレトの言葉 8:15(9784820212058)

“いつも麦藁だけをたたいている者に、どうして穀物を打つことをそしる資格があるか。そういう馬鹿者があったらば、その口を縛るがいい。

 そういう者たちは食卓には連なるが、食卓に加えるものは何ひとつ持参しないーーよい食欲をさえ持参しない、ーーそのあげくがこの悪口だ。「一切はむなしい」と。

 しかしよく食い、よく飲むことは、わたしの兄弟たちよ、けっしてむなしい技術ではないのだ。打ち砕くがよい、けっして楽しむことのない者たちの表を”

【第三部】新旧の表 (9784124001266)

“ わたしの兄弟たちよ、むしろ健康な肉体の声を聞け。これはより誠実な、より純潔な声だ。

 健康な肉体、完全なゆがまぬ肉体は、より誠実に、より純潔に語る。そしてそれは大地の意義について語るのだ。ーー”

【第一部】背面世界論者(9784124001266)

“15見よ、ベヘモットを。お前を造ったわたしはこの獣をも造った。これは牛のように草を食べる。16見よ、腰の力と腹筋の勢いを。17尾は杉の枝のようにたわみ腿の筋は固く絡み合っている。18骨は青銅の管
骨組みは鋼鉄の棒を組み合わせたようだ。
ヨブ記40:15-18(9784820212058)

“わたしの美しさのなかから飢えが生まれる。わたしが光を与えている者たちに、わたしは痛みを加えてやりたい。わたしが贈り物を与えた者たちから、わたしは奪いたい。――こういうふうにわたしは悪意に飢える。”

【第二部】夜の歌(9784124001266)

“太陽の下、労苦してきたことのすべてに、わたしの心は絶望していった。21知恵と知識と才能を尽くして労苦した結果を、まったく労苦しなかった者に遺産として与えなければならないのか。これまた空しく大いに不幸なことだ。”

コヘレトの言葉2:20-21(9784820212058)

“わたしのところを宿とし、家としているあいだは、何びとも絶望するようなことがあってはならない。わたしの領分のなかでは、わたしは何びとをも、かれを襲う野獣から守る。”

【第四・最終部】挨拶(9784124001266)

“ダビデはそこを出て、アドラムの洞窟に難を避けた。それを聞いた彼の兄弟や父の家の者は皆、彼のもとに下って来た。また、困窮している者、負債のある者、不満を持つ者も皆彼のもとに集まり、ダビデは彼らの頭領になった。400人ほどの者が彼の周りにいた。”

サムエル記上 21:1-2(9784820212058)