sake
日本一フェロモン含有量の多い翻訳家・Oさんから、
「ゲイの友だちとか言ってないでフツーの男も探すように」という指令メールが届く。

1970年代のコート(実家の隣のおばさんが着ていたもの)、
ジーンズ&色気のかけらもない長靴の如きブーツ
(★SOHOのCAMPERで購入。230ドル)
というトホホないでたちで、マンハッタンを歩くノラ編集者。
ロマンスへの道は、厳しく険しい。

だが、その日、バッグの中に忍ばせていたのは超大胆なビキニ。
パリで購入したこげ茶、ほとんど紐みたいな代物。
必要最小限のところしか隠れないし、いわゆる「カップ」
(スポンジのようなもの)もついていないので、
A)若い、B)ナイスバディ、の人しか似合わないと思われる。

どちらにも当てはまらないばかりか、スクール水着さえ似合わない体型で、
恐れ多くもそんなものを所持しているのは「海外サウナ対策」。
ヨーロッパはそうでもないけれど、NYのスパはユニセックスを
謳っているところ多数。
カップルでいらっしゃいませ~、というわけで水着着用が基本なのだ。
「風呂に行ったら全裸になりたい・・・」
というニッポン人たる欲求を満たすために、恥を忍んで、
限りなくハダカに近い水着を纏っているのである。

ノラ編集者のお気に入りスパはコリアタウンにある
★http://www.juvenexspa.com/
ホットタブはホットではないが(ぬるい)、サウナもあるし小奇麗。
韓国垢すりを東ヨーロッパ出身の女性にしてもらうって、
ヘンな感じ・・・。

・・・とはいえ、酒毒にまみれた身体を、赤ん坊か本マグロみたいに
洗ってもらい、シャンプーまでしてもらうと生き返る。
スパを出て、気分よくコリアタウンを歩いていると、
道の反対側から、誰かがわたしを呼んでいる。
「○○子~!!!」

大声の主は「英語上級者のための作文教室」というワークショップで
一緒になったことがある、韓国男子サンヒョク(仮名)。
某韓国企業のNY支社勤務。

タクシーのクラクション鳴らされまくりで道を横断してくると、
いきなりガシッとノラ編集者の肩をつかむサンヒョク。
「○○子~。なんでそんなに寂しそうに歩いてるんだよ!?」
・・・寂しそうなのは、化粧がすべて剥がれてすっぴんだからです。
「もう夜でしょう、ゴハンは食べたの?」
・・・夕飯はいつもアルコールなんです。

それじゃあ、と言って立ち去ろうとすると、
サンヒョクは更に4センチくらい近づき、
「ダメじゃないか~!寒いのに、前をあけたまま歩いちゃ風邪引くだろ」
と言いつつ、ノラ編集者のコートのボタンを留めはじめた。
「ボクも食事はまだだから、さ、一緒に食べようよ」
あのう、あなたとわたし、会うのは今日が三回目・・・。

日本の若い留学生の女の子たちがよく言っているのが、
「コリアンボーイに要注意」。
韓国なまりのせいかイヤに熱く聞こえる英語で、
気障なことをガンガン喋り、挨拶代わりにぎゅっと腕を握り、
臆することなく断っても断っても誘ってくる(そうだ)。
ちゃっかりフタマタ&ミマタもこなし、別れると言うとおいおい泣く(らしい)。

・・・残念ながら、若くもなく留学生でもないノラ編集者。
この機会に実態を調査するため、サンヒョクと一緒にコリアンレストランへ。

「辛い?」
「辛い」
「おいしい?」
「おいしい」

サウナで温まった身体に韓国焼酎(竹のラベルのヤツ)&海鮮チゲ。
サンヒョクは、かいがいしく鍋奉行。低い声が、熱くやさしい。
思わず目を閉じて、しみじみ思う。
「いいなあ~コリアンボーイ・・・」

できることなら、このまま目を閉じていたい・・・。
サンヒョクの、金正男に似た顔を見ずに、もう少し浸っていたいから・・・。

蟹をほじくるために目を開ける。
若い娘には戻れないし、『冬ソナ』世代に突入するのは、
ちょっぴり早いと思うノラ編集者であった。