![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240402/15/wansa358/68/45/j/o1080072015420574550.jpg?caw=800)
麻子と真司、2人が中学生3年生になる前の春休み。桜が満開の桜広場。
6時の桜の木の下のベンチで、
先に来た真司が横になって居眠りをしていた。
ポカポカとした心地よい日差しが差し、
小鳥がさえずっている。
しばらくしたら、風とともに桜吹雪が舞った。
真司の頬が風に撫でられて目を覚ました。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240402/15/wansa358/94/06/j/o0640048115420576815.jpg?caw=800)
そこに、一瞬、桜広場なのに、
港町中学校の桜の大木の下で、
新しい制服を着て短い三つ編みにした
麻子の姿がよぎった。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240402/15/wansa358/56/e6/j/o0810108015420576831.jpg?caw=800)
えっ?、真司が目をこすり、もう一度見ると、
そこには、ランチバスケットを下げた麻子が
真司の顔を覗くようにいた。
「びっ、びっくりした」
今日の麻子は
三つ編みではなく髪をほどいていた。
「夢見てたの? 驚いてるみたいだから」
「まあ、そんなとこ。何故か、
入学式の時の麻子が夢に出てきた」
「私が真司と初めて話をしたのは
中1の秋だったと思うけど」
「そうだったな。でも、俺は・・・。
まあ、いいや」
真司は入学式のあのショットは
心の抽斗(ひきだし)に仕舞っておこうと
思った。
「お昼は何だ?」
真司はランチバスケットを見た。
「お昼はね・・・」
麻子はお弁当を出しながら、
楽しそうに話出した。
真司は入学式のあのショットの頃から考えたら、
今、麻子と2人でお花見しているなんて
考えられなかったが、
受験生になる前の束の間の休息だなぁと
微笑んだ。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240402/15/wansa358/76/ca/j/o0810108015420576836.jpg?caw=800)