年をとった母親の重大な手続きを代わりに行ったという
話を友人から聞きました。

友人母子はやや遠くに住んでいるにもかかわらず、何かあると
こうして手伝っているのです。

母親のすぐ側に娘(友人の妹)も住んでいるのですが、
母親との仲があまり良くないために、あまり関わらないそうです。

妹は母から不動産等いろいろなものを貰っているにもかかわらず、
それに対しての恩をあまり感じることとがありません。

兄(友人)はそんな妹の姿を見て、こう言っています。

「まあ、こういう性格だからな。
悪知恵が働き、明らかに外から見れば常識はずれだけど、
決して悪い奴じゃないんだよ。」


妹さんは、これまで人との付き合いにおいては通常では考えられない常識で持って接し、
男性関係も地位や名誉にこだわり、安泰の生活を得ようとしますが、
何度も離婚しては失敗し、その人生もなかなか驚きなものがあります。

人よりも良く見られたいというプライドが働いてしまうのですが、、
結局自分で納得することがなく、いつも不満状態にいるのです。


私は友人に、おせっかいながらもこのように話しています。

「いつか妹さんに相続分の財産はすべて持っていかれてしまうんじゃない?」

しかしながら、友人はそれなられでいいと笑っていうのです。


兄と妹の間には10歳の年齢差があり、兄は高校卒業と同時に
家を飛び出していきましたから、それほど接触がなかったのです。

話によると妹さんが子供の頃は、あまり賢くはないけれども、
素直な良い子だったそうです。

よく言うこを聞き、わがままも言わず、なんでも食べる、かわいい妹
だったのです。

あるとき、中学生くらいになった妹に
兄は勉強をみてやろうという気になったのです。

勉強の“やり方”を伝授したところ、
それを境に急に妹の成績は伸び始めたのです。

友人は勉強はそれほど好きではありませんでしたが、
いかにして短時間で成果を上げるという効率さにかけては優等生だったのです。

友人は勉強の“やり方”は教えましたが
本当の頭の良い人間とはそうではないということを
教えなかったのがまずかったのかもしれません。

それ以来、妹さんは自分はできる頭の良い人間だと思い込み、
その性格までもが次第に変わっていったのです。


地位や見栄にこだるがために、結局は人は離れていきますが、
それを不幸と思わないようになったことは幸いなのかもしれません。

その生活を何年も続けてきたのですから、たとえここで相続で
一千万、二千万多くもらおうと友人は
妹をうらやましいとも何とも思わないのです。


友人の家庭は、それほど裕福ではありませんし、
これまで別れた男性からの損害賠償や母親から譲り受けたものも合わせれば
遥かに妹の方が金銭的には裕福であることは事実です。

今現在、家族や友人に恵まれ、しっかりと自立した生活ができていることは
何よりも幸せだと友人は話しています。

「一千万、二千万多くもらったからと言ってなんだろう。
本当の豊かさというのはそういうものではない。

妹がずるいのは分かっている。
ただ、損だ、得だというと、人生が悪い方向に流れるかもしれない。」

「それに妹は根は悪い奴じゃないよ。
変わってしまったけど、根は昔のままのところが残っている。」

やはり兄妹なのですね。


兄弟姉妹はいいものですよ!

幼いころは遊びもしますし喧嘩もたくさんします。
大人になれば離れてもいきますし、それでも昔以上に親しくなることもあります。

そんな兄弟姉妹の良さを私はよく知っています。