最近注目を浴びる外貨預金

 皆さんは最近日本で外貨預金が注目されているのはご存知だろうか。あるいはご自身が注目しているかもしれない。ここ数年で急速に円安が進んでおり、ドルやユーロといった外貨に注目する人が増えているのだ。取り残されないかと不安になっている人、もう遅いのではないかと諦めている人、思っていることは様々だろう。今回は外貨預金について少しお話ししたい。

 

そもそも急な円安はなぜ起きたか

 そもそもなぜ急激に円安が進んだのかを最初に触れておきたい。結論は、欧米と日本の間の大きな金利差である。コロナ禍が明けてから、欧米では異常なインフレが起きたが、これを抑えるために欧米の中央銀行は急速に金利を上昇させてきた。日本でもインフレが意識され始めているが、欧米はこの比ではない。日銀は多少の修正を実施しつつも金融緩和を継続している一方で、欧米は金融引き締めをおこなったのだ。これにより日本と欧米の間に大きな金利差が生まれた。

 さて、この金利差が円安にどのように影響するのか。理由は簡単で、持っていても増えない資産と持っているだけで増えていく資産どちらを持ちたいだろうか。間違いなく後者だろう。つまり、低金利の日本円を持つよりも金利の高い欧米のドルやユーロを持っている方がお得だから、皆日本円を売ってドルやユーロを買う。これにより円安が進行したのだ。

 

結局外貨預金はするべきか?

 結局のところ外貨預金はした方がいいのか。中には10%近い金利のものもあり、非常に魅力的だ。結論からいえば、私は今は手を出すべきではないと考える。10%近い破格の金利の背景を考えてほしい。銀行側から見れば、破格の金利を出してまで、高金利の米ドルを貸して日本円を回収するという行動をしていることになる。これは、銀行側が近い将来に円高に振れる、つまり外貨の価値が下落すると予想しているからだと私は考える。

 そもそも、今回の円安の原因は欧米との金利差だ。今後の為替は①欧米の金利の今後、②日本円金利の今後の2点を考えるのが妥当だ。これらについて、下記に述べたい。

 

①欧米の金利の今後

 1点目の欧米の金利についてだが、結論から言うと近い将来、ほぼ確実に利下げが始まる。欧米の中央銀行は激しい物価高を抑えるために高金利を維持しているが、逆に言えば物価高がおさまれば金利は下がるのだ。諸説あるが、アメリカでは経済を刺激も抑制もしない金利が2.5%程度と言われている。現在はこれの倍の金利を維持しており、いずれ経済にブレーキがかかる。(これにより物価の高騰が抑えられるのだが。)経済に過剰なブレーキをかけると不景気に陥る。こうなれば、中央銀行は再度経済を刺激するために利下げを開始する。そうなれば円安から円高の方向に振れるのだ。

 

②日本円金利の今後

 2点目の日本円の金利についてだが、こちらもいずれ金利上昇に踏み切る可能性が高いと考えている。そもそもなぜ日本が現在、これほどの低金利を維持しているかというと、30年もの経済低迷及びそれによるデフレだろう。そして、今年に入って外的要因が大きいとは言えインフレが起きた。それに反応して多くの企業が賃上げを実施した。インフレが起き、人々がインフレを予想し、それに応じて企業が賃上げを実施する。このサイクルが続けば日本は長年悩まされたデフレを脱却することになる。欧米の金利低下ほど確信を持って言えないが、日本の金利上昇もそう遠くない未来に起こると考える。実際にジワジワと日銀が金融政策を微調整し始めている。もちろん日銀が利上げに踏み切った場合にも、為替は円高に向かう。

 

最後に

 X(旧twitter)などを見ていると、日本にはもう何もなく円を持つ意味がないから2度と円高には振れないといった意見が散見される。これは5~10年程度の中期で考えれば間違いだと私は考える。主に米中で起きたIT革命に乗り遅れたために相対的に日本経済が弱ったように見えるのはあるかもしれないが、日本がトップを走る産業も少なくない。いまだに日本のものづくりは力強く、その証拠に世界有数の海外企業が日本のものづくりノウハウを得るために日本へ工場を建るといった動きが活発だ。今回の円安は、一部の人が煽るような『日本が見捨てられた』といったような絶望的なものではなく、単純な金利差によるものだ。(物価高自体が経済の強さとも関連があるので、間接的には経済も絡んでいるのは事実だが・・・)

 数ヶ月先の短期の動きや何十年、何百年先のことは誰にもわからないが、中期的には今回の円安は終わりを迎えて円高方向に転換すると見ていい。欧米の物価上昇の減速や景気後退が観測され始め、日本でも金融緩和の継続が難しくなっている今、円高方向に転換するのはそう遠くない。

 外貨預金自体は悪いものではなくむしろ大事なことだが、始めるタイミングは非常に重要だ。周りに煽られたり、破格の高金利に釣られて大損することは避けて欲しい。もちろん私の予想が確実なわけでもなく、何らかの要因が絡んで本当に2度と円高に振れない可能性も0ではない。しかし、その可能性は現時点ではかなり低い。皆さんが判断に困った際にこの記事が少しでも参考になれば嬉しい。