「講師のいない猫セミナー」をはじめたきっかけは、
「ねこライフ手帳」ができてすぐの頃に某所で参加した猫座談会での出来事でした。
猫に関するいろんなことを参加者みんなで話し合おう、というイベント。
著名な方もいたので、会場には30名ほど集まったでしょうか。
座談会にしては人数が多いかなと感じたのですが、司会者が「○○について、何か考えていますか?」と参加者全体になんとなく話を振る形式だったもので、ちょっと嫌な予感もしたのです。
自由に際限なく発言できる場の空気が作られると、
大勢の人がいても、発言する人はわずかに限られてしまいます。
「自分から手を挙げて話す」というのは、なかなか勇気が要ること。
話を切り出すことを物怖じせずできる人たちだけで話が回り始めたら、それ以外の人たちは座談会にいながら「聴衆」になってしまいかねません。
ましてや猫がテーマの座談会。
ウチ猫自慢やエピソードというのは、話し始めるとなかなか止まらないもので。。
その日の会場にも5分、10分と止まらない方がお1人いました。
でもその方に非はありません。
悪いのは、いわゆる「熱くなる人」を想定して構成や進行を考えなかった主催者です。
居心地の悪さを覚えながらも、私も抵抗して(笑)1回だけ手を挙げて発言しましたが、
ふと冷静になって思ったのは、
参加者の中には、本当はしっかりした考えや意見を言うことができる方なのだろうけど、
「自分から手を挙げてモノを言うのが苦手」という人って、意外に多いんじゃないだろうか。
それを確信したのは、座談会が終わった直後でした。
私の隣に座っていた青年は、パッと見、猫好きを感じさせないような普通のいで立ち。
でも携帯の待ち受けには猫の画像があり、聞けば「いつか猫の里親になりたい」と思って参加したそうで。
座談会の間、ずっと何かを話したそうにしている素振りはすぐに見て取れました。
でも手を挙げようかどうしようか、躊躇しているのもすぐに分かりました。
いつしか話題の中心が、いわゆるベテランの飼い主以外には共感が難しい中身になっていて、
ビギナーどころかまだ猫の飼い主にもなっていない人に入り込む余地がない雰囲気になっていたのも事実。
でもこの場で何かを尋ねたい、何かを自発的に学びたいという思いはきっとあったことでしょう。
結局その青年は1度も話すことなく、無言で会場を出ていきました。
去り際の少し寂しげな表情が、今でも私の目に焼き付いています。
でも、もしかしたら
「もしチャンスがあれば、この場で話したかった」と思いながら帰途についた方は、
あの青年以外にもいたかもしれません。
不満や文句を言うくらいなら、
自分ならこうする、というイメージを形にして自分でやってみよう。
そう思い立ち、翌年から始めたのが「講師のいない猫セミナー」です。
「上から教える立場の人間=講師は置かない」
「必ず参加者全員が1回は発言する」
「その時間を作るために少人数の規模で」
「話したいテーマは自分で選ぶ」
「1人の発言に時間制限を設ける」
「発言中の横やり、話をかぶせるなどのマウント行為は禁止」
と、あの時に自分が満たされなかった部分をルールとして明文化することで、
その場にいるすべての参加者がしっかり交流できる座談会形式のセミナーに仕上げようと考えました。
もちろん私も自らセミナーを主催するのははじめて。
最初はうまく場を回せなかったり、私自身がしゃべりすぎて怒られたりなど数々の不手際もありました。
それでも
「いろんな人の声が聴けて有意義だった」
「自宅に猫がいない人からも良い意見をもらえた」など、
参加して良かったという声もいろいろと頂戴して、現在も細々とながらこのフォーマットで続けています。
コロナ禍以降はオンラインを基本としていますが、
いろんな地域の方にご参加いただけているのはうれしいメリットです。
あの時の青年が風の噂でこのセミナーを知り、参加してくれるかどうかは分かりませんが・・・
プロアマ問わず、そして猫ビギナーの方でもご自身の考えや思いを尊重して傾聴する場となるよう、今回も多くの意見交流ができるセミナーになることを願っています。
◆9/23(土・祝)19:30~「講師のいない猫セミナー 8」
【ゲスト】
水門秀夫さん(手元供養ドットコム 代表)
大野葉子さん(一般社団法人 家庭動物共生教育支援フォーラム 代表理事)
発言できる「通常参加」9/20 or あと2名様で締切です。
聴くだけの「聴衆参加」当日まで受け付けます。どちらも以下のフォームからどうぞ。
▼通販サイトはこちら
「ねこライフ手帳ベーシック」は取扱店でもお求めいただけます。
手帳の見本もご用意していますので、ぜひお立ち寄りください。
◆ねこライフ手帳製作委員会は「ココロネコ」を応援しています!
◆「Neko's Life」のロゴをデザインしていただいた
『おさん』のランニングブログ 「ヨメとオイラのヘッポコラン日記」
※「ねこライフ手帳」は登録商標(第6174879号)です。