薬局新聞  4月17日(水) 配信


【コラム・時流】OTC薬に対する無関心さが招く問題

 先日の日本薬学会で開催された一般用医薬品の依存者に関するシンポジウムが非常に印象的だった。1面にも抜粋しているが、元薬物依存者の現状の販売方法に対する指摘は特に考えさせられた。レジスタッフは交代制を取っている店舗が多く、時間を区切れば目当ての商品を1日に10箱買うことは可能だったうえ、中には割引を行って依存者である自分を“ロイヤルカスタマー”として扱ってもらった店もあったほどだという。そして依存状態を抜けて気づいたのは、専門家の自分に対する無関心さが疑問だったと語る。「専門知識があるのに、どうしてコミュニケーションがなかったのか。OTC薬の購入者には無関心なのだろうか」。現在、OTC薬のネット販売解禁問題で業界は揺れている。特に日薬は、職能存亡問題と危機感を煽るが、現場にどれほどその熱意が伝わるのか。個人的には依存問題とネット販売の根幹は類似している感触を抱いた。「OTC薬だし」と無関心を決め込むほど怖いことはないのだ。